『散る桜、残る桜も散る桜』 父祖の思いを受け継ぎ、次の世代へと伝えたい
今回は名越二荒之助氏(元高千穂商科大学教授)の書かれたドキュメント 世界に生きる日本の心―21世紀へのメッセージより、日本の国柄(国体)を深く理解し愛したラフカディオ・ハーン(小泉八雲)について書かれている箇所を引用します。

小泉八雲


(引用開始)
ラフカディオ・ハーンは、一八五〇年、アイルランド人の父とギリシャ人の母との間に生まれました。幼年期をギリシャで過ごし、両親の離婚により、アイルランドに引きとられました。
明治二十三年(一八九〇年)に来日し、松江中学校の英語教師となりました。松江は出雲神話の故郷であり、彼は松江を「神々の国の首都」と呼びました。
彼の生地ギリシャでは、太古の神々を祭る神殿は悉く廃墟となっており、ゼウスの神やアポロンの神殿を礼拝する者はいませんでした。
にも拘らず日本では、天照大神に拍手を打ち、出雲大社への参拝者が絶えません。八百萬(やおよろず)の神々が生活の中に生きていたのです。彼は、この地球上に多神教が生きていることに驚きました。

彼が最晩年にまとめた『日本 解明への一試論 Japan An Attempt at Interpretation』という一書は、日本研究の総決算であり、最高傑作と評する外国人は多い。
原文は『JAPAN』ですが、大扉に「神国」と漢字による邦題がつけられているので、邦訳書では「神国日本」となっています。この書は題名が悪いのか、教科書には「耳なし芳一」のような会談ものは載っていますが、『神国日本』は載っていませんし、メディア等で紹介されることもありません。

彼の説く「神国日本」とはどういう内容だったのでしょうか。
彼は書の中で、日本人の創造した神々が、太古以来断絶することなく、いかに生きてきたか。そして、当時の日本人の家庭生活・社会組織・国家体験の中で、いかに祖先の神々への信仰が生き続けているか、を情熱を込めて書いています。ハーンはその間、日本人は仏教やキリスト教にいかに対応したか。そして、祖先信仰を失っていったギリシャ・ローマや西欧諸国との比較にも及んでいます。

この本を貫く主題は何か。私は次の言葉を選んでみた。

「日本人は目に見える一切の森羅万象の背後に、超自然の神霊を考えて、山川草木湖海風雷から井戸・かまどに至るまで、それらを司る神を想像した。日本人はこの国土をつくった神々の子孫で、この神々こそ我々の祖先である。この祖先である神々に奉仕し、この祖先を崇拝することが、我々の最高のつとめであると考えてきた。神道では他の宗教のように、地獄・極楽を説かない。日本人はその肉体が終えると同時に、超自然の力を得て、時間空間を超越した霊となって、子孫と国家を護るのである。この考えのない者は、日本人ではない」

ラフカディオ・ハーンのように、日本人には自然崇拝と祖先信仰への原始以来の宗教感情がいき続けている、という見方をする人は多い。
(引用終わり)


ラフカディオ・ハーンの言われるように、私も自然崇拝と祖先信仰、この二つが日本人の宗教観の根源を成すものだと考えています。
祖先信仰については、拙ブログ「神道は日本人のエトス(潜在意識)」でも触れているので、ご覧下さればと思います。
◆「神道は日本人のエトス(潜在意識)」

よくよく考えてみれば、日本はキリスト教、イスラム教徒という、極めて影響力の強い宗教(この二つの宗教の信徒数を合わせれば、世界の人口の過半数を超えています)の信徒が少ない、珍しい国です。

もし日本人が無宗教で、宗教心なんか持たない民族であれば、とっくに強い宗教に染まってしまっていたと思います。特に日本は奇跡的にキリスト教徒の少ない国です。先進国の中で、キリスト教徒が1%しかいないなどという国は、日本以外ありません。隣の韓国などは、20%までいってます。

ですから、日本にはキリスト教に対抗できる、自然崇拝、祖先信仰を軸とする独自の宗教観、山本七平氏はそれを『日本教』と呼びましたが、その日本教ともいうべき強力な原理を既に持っていたので、染まらなかったのだと私は思います。

私は日本国について興味を持って学び始めるまでは、日本人は宗教心あるいは信仰心というものが薄い、「無宗教」の民族だと思っていました。
しかし、私の住んでる周りをみてみると、各地区ごとに必ず神社があって、今も地区の住民によって維持管理されており、春や秋のお祭りの時期には幟を立てたり、神輿を出したりしています。そして、山へ行けば、山道の入り口には祠(ほこら)があって、山の神様を祀っています。古い巨木や、変わった形の岩などがあれば、それにもしめ縄を付けたりして信仰の対象になっています。他にも、お寺などもあったりして、見渡せば宗教に関するものが様々あることに気付きました。ですから、私が日本人は無宗教だと思っていたのは、全くの見当違いだったのです。

ラフカディオ・ハーンは「この考えを持たない者は日本人ではない」と言われていましたが、まさにそのとおりだろうと私も思います。

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コメント
この記事へのコメント
>spiralさん
えっ、そうだったんですか?
私の方はあの本を読んだ直後に、この記事を見たんです。
だから、自分のブログで記事を書いたときも、spiralさんの記事に似たようなことが書いてあったなぁと思い出して、TBしたというわけです。

spiralさんの記事は、このように印象深く、後々まで頭に残るものが多く、本当に素晴らしいと思います。
2006/11/10(金) 06:31 | URL | milesta #S4B2tY/g[ 編集]
TBありがとうございます。実はこの記事は桜チャンネルに出演された井沢さんのお話を聞いて、それを元に書いたものなんです。
その時に、milestaさんが今回紹介されていた本を、番組でも紹介していたんです。ですから、milestaさんの記事を見たときは、ちょっとびっくりしました。
2006/11/09(木) 22:47 | URL | spiral(管理人) #-[ 編集]
TBさせていただきました。
今回の本は、一神教について書かれたものですが、日本に住んでいらしたイスラム教やユダヤ教のリーダーの方々が、他宗教に寛容な発言をなさっていて、お二方とも「日本で気がついた」と仰っていることです。
2006/11/09(木) 11:58 | URL | milesta #S4B2tY/g[ 編集]
※拙ブログにTBして下さったものを転載したものです。

アクセス解析超人大陸の特徴のひとつに「未来を読む」「人の見えない所を見る」というのがあるのですが、笑うエスパーと超人偵察隊で一致した読みを元に、かなや的な未来予想を

超人列伝 ~非公式超人大陸ガイドぶろぐ+α~ a guide of www.choujintairiku.com
http://starking.blog45.fc2.com/blog-entry-4.html
2006/01/23(月) 01:44 | URL | spiral(管理人) #-[ 編集]
新年にあたりご挨拶を申し上げます
明けましておめでとうございます
今年もよろしくご指導の程お願い申し上げます。
早速ですがTBさせていただきました。
2006/01/03(火) 18:15 | URL | いざりうお #-[ 編集]
>いざりうおさん
こちらこそ、いつもいざりうおさんのブログで勉強させて貰い、ありがとうございます。
これからは、このような「日本人の心」についても書いていこうと思っています。今年も宜しくお願いします。

>milestaさん
>「GOD」を「自然」に換えると日本の宗教観に似ていませんか?
なるほど、そう言われるとそうですね。
少し話はそれますが、日本では、地震も起こるし台風も来るしで、昔から人間は「自然」には敵わないというのを知ってたようですね。それが日本人の自然観に影響を与えたようです。
他方、西洋(ヨーロッパ)の方では地震も少なく、台風も来ないので、「自然」は人間が支配、というかコントロール出来るという自然観になったようです。
司馬遼太郎氏の本(タイトルは忘れました)で読んだ記憶があります。

>Mergeさん
>同じ姓を持つ首相にもこのような見識をもっていただきたいものです。
このご意見には全く同感です。

今年も宜しくお願いいたします。

>奥様
私は最初は奥様のことを全く知らずにブログを読ませて貰っていたのですが、段々と奥様の事を知るにつけ、「普通の主婦」ではない、凄い人だというのを理解しました。
今年も宜しくお願いいたします。
2006/01/01(日) 19:30 | URL | spiral(管理人) #-[ 編集]
新年のご挨拶を頂き有難うございました。

本年も宜しくお願い申し上げます。
(普通の主婦ですから、おだてないで♪)
2006/01/01(日) 18:22 | URL | 奥様 #-[ 編集]
素晴らしいですね!

同じ姓を持つ首相にもこのような見識をもっていただきたいものです。

spiralさん、本年は大変お世話になりました。大変勉強させていただきました。来年もよろしくお願いいたします<(_ _)>
2005/12/31(土) 15:09 | URL | Merge #-[ 編集]
年末ぎりぎりまでの更新ありがとうございます。

>日本教ともいうべき強力な原理を既に持っていたので、染まらなかったのだと私は思います。

本当にそうですよね。強力かつ寛容なので、どんなものが来ても飲み込んでしまうようなところがありますよね。

自然崇拝と祖先信仰が日本人の宗教観の根源というのも、全く同感です。

私も含めて現代人は、自然の中では人間とはなんとちっぽけなものなのだろうという謙虚な心や、自然は人間がコントロールできないような力を持っているということを忘れてしまいがちですよね。
便利な世の中になって、何でも思い通りになるなどと勘違いする人が増えているのも、このことと無関係ではないと思います。

キリスト教の「GOD」と日本の「自然」はこの点、似ているところがあると感じます。
キリスト教では「GOD」の偉大さを忘れて、自分(人間)が王様であると勘違いして自己中心的に振る舞ってはならないと教えます。「GOD」を「自然」に換えると日本の宗教観に似ていませんか?
(しかし、その「自然」さえも「GOD」が創ったというところが日本の宗教観とは違うところです。)

と、このように勝手に解釈して異教の教えも日本的な宗教観につくりかえてしまうので、日本ではキリスト教やイスラム教が浸透しなかったのかもしれませんね。
2005/12/31(土) 11:04 | URL | milesta #4On3Ze.o[ 編集]
このラフカディオ・ハーンの言葉はまさにそのとおりであり、必要最小限の言葉を持って日本神道を端的・的確に表現した名言ですね。
いい本を紹介して頂いて有難うございます。
2005/12/31(土) 02:16 | URL | いざりうお #-[ 編集]
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