『散る桜、残る桜も散る桜』 父祖の思いを受け継ぎ、次の世代へと伝えたい
今回は、昭和史研究所会報(平成17年3月10日号)に、同研究所評議員の足羽雄郎(あしばいさお)氏が書かれた、「日本軍を称える元敵国軍人達」を紹介します。
大東亜戦争(太平洋戦争)で日本軍と戦った敵国の軍人達が、日本軍をどう評価しているのかについて書かれた文章です。

『外国人が評価するサムライ魂』
日本軍を称える元敵国軍人達
「最強の軍隊と戦って満足」

■「アーロン収容所」に関連して
新年を迎えて、多少暇が出来たので、数年前神田神保町の古本屋で購入していた、(故)会田雄次先生著「アーロン収容所」を、読んでみた。流石は会田先生だけに人間に対する洞察力の鋭さには感服の外ない。面白いので読み出したら止められなくなってしまった。特に、私の注意をひいたのは、同書68項より69項に書かれてある、先生の体験談である。一寸長くなるが、引用させて頂くことにする。


私たちが英軍とは士官はもちろん、兵隊とも一般的な話をすることは滅多にない。会話が苦手のためにこちらが話しかけないという事情によるかもしれない。しかし、根本的には何度もふれたように、イギリス人自体が、日本人と話し合う、しかも兵卒と話をするというようなはしたない態度はとろうとしなかったからである。だが例外もある。なにかの機会に「日本人はこの敗戦をどう考えているか」とか「復讐をしたいのか」とか、「なぜ簡単に武装解除に応じたか」など問いかけられることもあった。

ある時、私たちの作業指揮官の将校と英軍中尉と話がはじまった。この中尉はアメリカで働いていてハーバードを出たとかいう非常に人なつっこく感じのよい青年であった。かれは、ときおり私たちに何かと話しかけようとした稀なイギリス人の一人であった。それはアメリカにいたという経歴の気さくさだったかもしれない。私たちの将校は、「日本が戦争をおこしたのは申しわけないことであった。これからは仲よくしたい」という意味のことを言った。どのように通じたのだろうか。英軍中尉は非常にきっとした態度をとって答えた。

「君は奴隷か。奴隷だったのか」
楽天家らしいかれが、急にいずまいを正すような形をとったので、私はハッとした。この言葉はいまでもよく覚えている。もっともスレイブというのはそのときすぐには聞きわけにくかった。奴隷という言葉がわかったときも、「貴様らは奴隷だから人並みに謝ったりするな」ということであったと思ったのだから、私の聞きとり能力も心細い話だ。しかし、つぎのような説明を聞いてやっと意味が分かった。

「われわれはわれわれの祖國の行動を正しいと思って戦った。君たちも自分の國を正しいと思って戦ったのだろう。負けたらすぐ悪かったと本当に思うほどその信念はたよりなかったのか。それともただ主人の命令だったから悪いと知りつつ戦ったのか。負けたらすぐ勝者のご機嫌をとるのか。そういう人は奴隷であってサムライではない。われわれは多くの戦友をこのビルマ戦線で失った。私はかれらが奴隷と戦って死んだとは思いたくない。私たちは日本のサムライたちと戦って勝ったことを誇りとしているのだ。そういう情けないことは言ってくれるな」

おぼつかない聞き方だが、ゆっくりと噛んでふくめるように言ってくれたのはこういう内容であった。相手を勇気づけようとする好意があふれていて、頭が下がる思いであったが、その反面、勝者のご機嫌とりを察知されたことに対する屈辱感というものは何ともいえないものであった。


文中のイギリス人士官の話は、実に感動的である。

■國神社に参拝する元豪州軍人

ここで思い出すのは、もう二十年も昔の筆者自身の体験である。八月十五日に、國神社に参拝していたところ、私の近くで手を合わせている初老の外国人の紳士がいたので、不思議に思い、少々厚かましいとは思ったが、話しかけてみた。話しはじめてわかった事は、かれはオーストラリアの旧軍人ということであった。彼が語ってくれたことを、ありのまま、引用すると次の通りである。

「太平洋戦争中、召集され、日本軍と戦ったオーストラリアの退役軍人です。私の日本兵の印象は、とにかく、われわれオーストラリア兵の想像を絶する程強かったということです。おかげで、戦友を大分失いました。私の唯一のなぐさめは、戦友が、例外なく世界最強の日本兵と戦って死んで行ったということです。私たちの戦友も勇敢に戦いました。結果的には、日本は善戦むなしく連合國に敗れましたが、その兵士たちの示したサムライ精神のおかげで、日本人は勝者である連合國の軍人の尊敬を得たことを憶えておいて頂きたいと思います。オーストラリアの戦死者に名誉を与えてくれた日本の英霊に、日本へ行くことがあったら、國神社に参拝して、私たちオーストラリアの旧軍人の感謝の気持ちを伝えたいと思っておったのですが、やっと今日ここにやって来れました」

実に有難い話であった。その後も、かつての連合國の旧軍人たちが、日本兵の勇戦振りを賞賛するのを何度か耳にしたことがある。

■サムライ魂なき元日本兵の懺悔

翻って、今日の日本人の有様を見るにつけ、実に情けない思いがする。サムライ精神に価値を見出す日本人なんて、ごく少数の人々を除いては皆無に等しい。却って外国人が評価してくれている有様である。

日中國交回復の前後、いわゆる支那事変に参加した旧日本の軍人が、何人か揃ってテレビ番組に出演したことがあった。呆れたことに、件の日本兵士の方々が、揃いも揃って、まるで謀(しめ)し合わせた如く、「私は中國大陸は、熱河省で侵略戦争に参加しました」と自己紹介し深々と頭を下げた。全く唾棄(だき)すべき風景であった。もっとも、こういう手合いは、旧日本軍人でなくとも、いわゆる進歩的文化人にはかなり多い筈である。これらの人々が、自ら侵略戦争に参加したと告白することにより、中國人から「良心的日本人」と賞讃されたいため、自分の國や同胞の悪口をいう自由を私たちの國は保障しているのである。

続きは後編へ

冒頭に登場した本はこちらです。
アーロン収容所
中央公論社
会田 雄次(著)
発売日:1973-01
おすすめ度:5.0
おすすめ度5 日本国民の財産としての捕虜体験の記憶−−この記憶を生かすのは我々である。
おすすめ度5 優れた人間観察の本
おすすめ度5 軍人でない人の、戦争が終わった後に始まる戦記です
おすすめ度5 異民族が交錯した場所
おすすめ度5 他者を知るための必読書



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コメント
この記事へのコメント
>かついちさん
私も初めてこの文章を読んだとき、かついちさんと同じように感じました。旧連合国の兵士の方の中には、精強だった日本兵と戦ったことを誇りに思っている方もいるのです。
こういう話は世間では殆ど聞かれないので、今回この記事を引用することにしました。

>kousotsudrさん
おっしゃるとおりです。卑下ばかりすることは、懸命に戦った英霊の方々を貶めることにもなりますしね。
2006/04/06(木) 21:29 | URL | spiral(管理人) #-[ 編集]
敵国側からの武士道精神ですか,なるほど凄い人がいるもんですね.自己卑下ばかりする日本人は恥ずかしいです.

2006/04/06(木) 17:28 | URL | kousotsudr #-[ 編集]
旧日本軍と戦って勝ったことを誇りに思う・・・。今までそのような考えに出会ったことはありませんでした。この記事を拝見して、驚いたのと同時に心を突き動かされたような思いをいたしました。戦争の善悪は論じるまでもないことだと思いますが、こうした旧連合国軍側兵士の気持ちがあるということを日本人としてきちんと認識した上で、一方的に善悪を論じるのではなく、今一度反省の仕方を考えるべき時が来ているように思いました。
2006/04/06(木) 16:30 | URL | かついち #JalddpaA[ 編集]
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