『散る桜、残る桜も散る桜』 父祖の思いを受け継ぎ、次の世代へと伝えたい
今回は、月刊誌『致知』4月号より、平沼赳夫氏(衆議院銀)と渡部昇一氏(上智大学名誉教授)の対談記事を引用します。

■この国の進む道

郵政民営化に反対して除名。志を貫いて自民党復党を拒否。無所属となった衆議院議員の平沼赳夫氏は、保守の旗幟を鮮明に、自主憲法制定に政治生命を燃やす。対する本誌おなじみの渡部昇一氏は、東京裁判史観叩きつぶしに使命を燃やす。お二人の語り合う日本の進むべき道。

渡部昇一氏&平沼赳夫氏

【画像左】平沼赳夫(ひらぬまたけお)
昭和14年東京都生まれ。昭和37年慶応義塾大学法学部卒業後、日東紡績に11年間勤務。故・中川一郎元農林水産大臣秘書を経て、55年衆議院議員初当選。以降9期連続当選。運輸大臣、通商産業大臣、経済産業大臣など、を歴任。現在無所属。著書に『新国家論』(中央公論新社)などがある。
※平沼赳夫氏HP
http://www.hiranuma.org/



【画像右】渡部昇一(わたなべしょういち)
昭和5年山形県生まれ。昭和30年上智大学文学部大学院修士課程修了。ドイツ・ミュンスター大学、イギリス・オックスフォード大学に留学。ミュンスター大学哲学博士。同大学名誉哲学博士でもある。昭和46年から上智大学教授。平成13年から上智大学名誉教授。該博な知識、識見にもとづいて文明・歴史批評・社会評論を展開して著名。第24回エッセイストクラブ賞、第1回正論大賞受賞。



■支持率低落の真因

平沼 渡部先生とは何度かお会いしていますが、じっくりとお話するのは初めてです。

渡部 お会いしたのは何かの集まりであるとか、どなたかの結婚式であるとか、ですからね。

平沼 きょうは楽しみです。

渡部 こちらこそ。それにしても麻生首相の支持率低下が止まりませんな。麻生さんには保守層のコアとなるしっかりした支持基盤があったはずなのです。その時その時で浮動層が揺れ動くことはあるでしょう。しかし、保守派の中心はしっかりしているから、支持率が三十パーセントを切ることはないと思っていました。それがあっという間に一桁(けた)台に割り込む感じです。

平沼 いろいろ言われていますが、私は田母神問題への対処が決定的だったと思います。

渡部 やはりそうお考えですか。私もまったく同感です。

平沼 田母神論文が表面化したら、有無を言わさず一方的に幕僚長を馘首(かくしゅ)してしまった。その理由が、論文の趣旨が国家の方針に反しているからということなんだが、国家の方針とは具体的には村山談話なのです。私は麻生さんとは非常に仲がいいんですが、村山談話にそこまで拘束されていたとは驚きを禁じ得ません。あれで保守支持の固い層が失望して、一斉に離れてしまった。支持率低下の真因はそれだと思っています。

渡部 私も同じことを考えていました。だが、マスメディアは定額給付金がどうの郵政民営化についての発言がどうのと枝葉末節のことばかり報じて、肝心のことは何も言わない。村山談話とは何か、それに拘束されていいのか、という問題を論点の中心に置かない。だから、政治の本質が見えないんです。
平沼 同じようなことは安倍晋三さんにもありました。憲法改正の問題、防衛庁の省昇格、防衛省の文書館設置、教育基本法の改正と安倍さんは実にいい仕事をしているんです。だが、彼は靖国参拝を曖昧(あいまい)にした。靖国参拝をしたともしなかったとも言わなかった。するともしないともはっきりさせなかった。これが保守派の気持ちを冷めさせる一因になりましたね。

政治家は己が拠って立つ思想信条をぶれさせてはならない、ということです。周りの空気や流れにばかり気を使って、肝心要のものをぼかしたり曖昧にしたり、果ては裏切ったりする。これは政治家ではな政治屋の所業です。真の信頼を得ることはできない。

最近は政治屋が多くなりました。それが日本の政治の現状にもろに現れている、と断言してもいいかもしれません。

■子孫に恥辱を残した罪

渡部 私は最近、自民党の立党趣意書を読んだんです。実にいいんですね。例えば、自主憲法制定がはっきり謳(うた)われている。感動しました。ところが、その後の自民党は立党の政治綱領の方向には進んでいない。逆行さえ見られる。

平沼 私は議員になって二十九年になりますが、政治綱領はまだ若手代議士だった頃です。外に出ていた河野洋平氏が日本新党に行き詰って自民党に戻ってくる。その彼が政治綱領をやるという状況でした。ところが河野氏は自主憲法制定を要綱から外そうとしたんです。私は当時政調会長だった藤尾正行さんのところに飛んでいって訴えました。藤尾さんが非常に危機感を持たれて、阻止に動かれた。それで政治要綱に自主憲法制定が残った、といういきさつがあるのです。

渡部 最初から來雑物(きょうざつぶつ)が混じっていたということですか。

平沼 私は超党派の衆参二百四十名ほどでつくる台湾との議員懇談会の会長をしていますが、河野氏が外相で訪中しようとして、嵐のために飛行機が台湾に緊急避難したことがあった。台湾の要人が飛行機の中ではなんだからと貴賓室に案内しようとした。だが、彼は飛行機から降りない。そして中国に行って、自分は台湾の領土を一歩も踏まなかった、と自慢している。

渡部 だから河野洋平ではなく、「江(こう)の傭兵(ようへい)」、つまり「江沢民(こうたくみん)の雇い兵」だといわれているんです(笑)。

平沼 自民党、いやに本にとって河野氏は來雑物以上、厄災(やくさい)の種です。先ほど村山談話の話が出ましたが、彼は衆軍慰安婦を認めて謝罪する河野談話を出している。

渡部 そうです、そうです。

平沼 これは許せません。日本をどんなに汚辱にまみれさせたことか。これがあるから、日本は韓国人女性二十万人を拉致して強制的に性の奴隷にしたという、とんでもないアメリカ下院の日本非難決議が出てくるんです。

渡部 あんなばかばかしい決議が罷(まか)り通って、この恥辱を雪(すす)いでいくために、我々の子孫はこれからどれだけ苦労をしなければならないか。あの非難決議の張本人であるアメリカ下院議員のマイク・ホンダ氏は日本に来た時、けしからんじゃないか、と講義されました。すると、向こうは言うんです。「日本の衆議院議長が従軍慰安婦を認めているじゃないか」と。こう言われたら、おしまいですよ。河野洋平氏は万死に値します。

平沼 マイク・ホンダ氏は皮肉なことに日系だが、彼の選挙地盤はカリフォルニア州のチャイニーズとかコリアとかのマイノリティーなんですね。その反日的な風潮に乗っかってるんです。

渡部 そうです。中国から金が入って、それがマイノリティーを動かしている。中国は戦前、蒋介石(しょうかいせき)夫人の宋美齢(そうびれい)氏がロビー活動を行い、効果を上げた経験がある。アメリカを金で動かす方法を知っているのですね。先ほど渡部先生は田母神問題でマスメディアが核心を伝えていないとおっしゃったが、ここでもマスメディアは背景の構図をきちっと伝えていません。

渡部 同時に、外務省も中国に対抗するロビー活動の手法を持っていない。

平沼 衆議院の議場で議長席の後ろの扉から河野議長が入ってきます。以前はそういうことはなかったが、敬意を表するつもりなのでしょうか、議員が立って迎えるんです。民主党の議員も立ちます。私は立ちません。河野氏が何をしてきたかを考えたら、とても立てるものではありませんよ。私の議席の隣は亀井静香さんですが、彼は歯に衣着せないから、「あんな男になんで立つんだ、ばか野郎」なんて叫んでますけどね(笑)。

渡部 それは亀井さんの方が正しい(笑)。

■日本を蝕む無知の病

平沼 南京大虐殺の問題も根っこは同じですね。南京に記念館が建っています。日本では抗日記念館と言っていますが、実際に出ている看板は屠殺(とさつ)記念館です。中国人が日本軍によって家畜のように屠殺されたというわけです。実際に三十万人が屠殺されたという表示が出ている。百人斬りも表示してある。これは戦前に『東京日日新聞』が、戦意高揚のつもりだったんでしょうね、中国人を百人斬りした将校の記事を載せたんだが、事実無根のでっちあげ記事だったことは、いまでははっきりしています。

だが、これが本当のこととして、将校の写真まで添えて屠殺記念館に掲げられているのです。こういう不当表示は排除しなければならないと、議員連盟を結成して外務省に説明を求めました。審議官がやってきました。そして、「チャイナスクールの○○です」と自己紹介したんです。

渡部 そう名乗ったのですか。

平沼 そうです。私はちょっと待て、と。日本の外務省は日本の国益を代表して行動するものだろう、と。ジャパンスクールなら分かるが、チャイナスクールとはなんだ、と。それからは出てこなくなりましたが。国益よりも先に外国の思惑を考える。こういう意識は政界にも外務省にも意外に分厚く浸透しているんですね。

渡部 私は無知ということを考えるんですよ。日本の病根は無知かもしれません。

名前は言いませんが、外務省の偉いポストにいた人です。マッカーサーがアメリカ上院の軍事外交委員会で「日本がこの前の戦争に入っていった主たる目的は自衛のためであった」と証言した、という話を私がしたら、その資料をくれ、と。知らないんですよ、外務省で偉かった人が。こっちは何十年も前から知っていることなのに。これには驚きました。

平沼 政界にも同じようなことがあります。ある定例的な昼食会で、日本はポツダム宣言を無条件ではなく有条件で受諾したのだ、という話をしたら、防衛庁長官をやった男が知らなかったのです。無条件降伏だと思っていた、と。

渡部 ポツダム宣言にちゃんと書いてあるじゃないですか。「我々の条件かくの如(ごと)し」として連合国側の条件を挙げている。その条件を受け入れるかどうかを日本に迫ったのがポツダム宣言なのですからね。明らかに有条件降伏です。

ただ一か所、無条件と記した項目がある。軍隊の解体を無条件で認める、という項目です。これも軍隊の無条件解体という条件の一つなのですからね。天皇陛下が、軍隊が無条件解体を受け入れるかどうかを心配され、宮様を派遣して説得したという事実もある。

平沼 無知がコロコロと信念を変える政治屋を増やし、現在の混迷を招いていることは、確かにあります。

■賞味期限切れの自民党

平沼 私はいま、無所属です。郵政民営化に反対して自民党を除名になった。私の選挙区は岡山県ですが、地元を見ていると、経済効率だけを追求する郵政民営化にはとても賛成できない。郵便局というのは田舎にとっては郵便物の集配だけではないのですよ。生活の利便を支える重要な公共サービス機関なのです。だが民営化すれば、例えばある郵便局は十二名の職員を二名にするという。近隣の生活がどんなに不便になるかは一目瞭然(いちもくりょうぜん)です。国民の生活を不便にするようなことを政治がやるべきではない。だから反対したのですが、それで除名です。

だが、自民党も除名のままにしておくのは政局の上で厄介だし、数の問題もありますからね。私をはじめ十二名に復党の案を出してきた。除名された側にすれば、無所属というのは政治活動が狭められますからね。

渡部 それはあるのでしょうね。

平沼 それで私が十二名をまとめ、復党の交渉に当たりました。すると中川秀直(当時幹事長)氏は、党議拘束のかかった法案に反対した時は政治家を辞めることを誓約する条件を出してきたのです。冗談ではない。私が政治家を続けるか辞めるは選挙民が決めることで、党の決めることではありません。それが議会制民主主義というものです。

渡部 等が結束して法案を成立させていくというのは、政党政治として大切なことでしょう。しかし、党員であってもどうしても賛成できないということが出てくるのも、当たり前のことです。そうなった時、アメリカは割と平気ですね。共和党でも民主党でも自党に反対して他党に賛成票を投じている。それで除名になることはない。

平沼 それが当然でしょう。私以外の十一人は誓約書にサインして復党しましたが、私はしません。郵政民営化反対は私の政治的信念なんだから、誓約書にサインしてそれを取り消すことは政治屋に堕(だ)することです。それで無所属というわけです。だがいいこともあるもので、無所属になって見えてくるものもある。いまのままの自民党は賞味期限が切れている、ということです。小泉内閣の時がその潮目でした。

渡部 いや、そのメルクマール(指標)はソ連崩壊だったんじゃないかと思いますよ。それまでは共産圏と対峙するという明確な軸があり、緊張感があった。だが、ソ連が崩壊してなんで旗幟(きし)鮮明にするかという軸を失ってしまった。あれから自民党は崩れましたね。反日的なものがどんどん自民党に紛れ込んでくるようになった。本当に崩れたという感じです。

平沼 いま遺族会の会長をしている政治家でさえ、靖国神社にA級戦犯が合祀(ごうし)されているのは問題だ、などと言っている。A級戦犯とされた人たちは公務が罪科(ざいか)とされたのであって、個人には罪が無いのだということを国会で決議しているのです。これには共産党も社会党も賛成しているのです。にもかかわらず、A級戦犯の分祀を遺族会会長の立場にある人間が言う。ここにも無知がはびこっています。

渡部 A級戦犯の合祀がいけないという変な理屈が出てきた根拠は、昭和六十年十二月の国会で、当時外務省条約局長だった小和田恒(ひさし)氏が政府委員として行った答弁にあると思います。

日本はサンフランシスコ講和条約で東京裁判を受諾して国際社会に復帰したのだというのですね。日本は犯罪国家、ハンディキャップ国家なのだから、国際社会では頭を下げなければならないというわけです。この理屈がペコペコの謝罪外交の根拠になり、どれだけ日本を損ねたかは、計り知れないものがあります。

平沼 講和条約第十一条の問題ですね。だが、これは渡部先生も主張されているように、日本が受諾したのは東京裁判ではなく、judge-mentsすなわち東京裁判が下した個々人への判決なんですね。

渡部 そうです。講和条約後も東京裁判が下した個々人への終身刑とか禁固何年とかの刑を、日本が責任を持って執行するということです。しかもこの第十一条には後段があって、参加諸国の同意があれば、刑の執行を解くことができる、としているのです。

だから、日本はその条項に従って諸国の同意を取り付け、刑の執行を解いた。国際社会は東京裁判をチャラにしたということですよ。死刑になった七人は、これは殺されているのだからどうしようもないが、刑を解いたことに変わりはない。つまり、Ak通戦犯などはないのです。これが国際法上の正確な理解です。

死刑になった七人は、法的には戦闘は停止したが平和条約が結ばれていない戦争状態の下で捕らわれたのだから、身分は捕虜です。それが殺されたのだからこれは捕虜虐待であって、日本は国際社会に抗議してもいいものなのです。

平沼 外務省が打ち出した誤った解釈で統一して国際社会に交わり、卑屈な姿勢で国益を損ね、その状態がどん詰まりのところにきているのがいまである、ということですね。

■悪口戦争には勝たねばならぬ

渡部 私が最近読んだ本に、こういうことが書いてありました。「イギリスを自慢するのはイギリス人で、ドイツの悪口を言うのはフランス人、スペインの悪口を言うのは、これはもちろんスペイン人に決まっている」と。

これを敷衍(ふえん)して言うと、こういうことなんですね。世界に覇を唱えた欧米の国の中で、なぜスペインだけが没落したのか。スペインは南米に進出してインディオを虐殺し、インカ帝国やマヤ文明を滅ぼした。このことをイギリスがヨーロッパにばら撒(ま)き、中世にはそのための異端審問(しんもん)まで開かれて、スペイン人は自分の国が悪い国だと思わせられてしまった。それで気力を失い、没落に向かったというわけです。

では、イギリスやアメリカは悪いことをしなかったのか。いま中南米に行くと、インディオは結構多い。白人はめったにいない。

平沼 大半は混血で、インディオの血を引いています。

渡部 では、アメリカはどうか。

平沼 原住民マイノリティー中のマイノリティです。

渡部 白人、黒人、ヒスパニックが圧倒的で、インディアンはアジア系よりも少なく、見る影もない。北米でいかに大量の原住民虐殺が行われたか、ということです。とてもスペインのインディオ虐殺などの比ではありません。だが、スペインがマヤ文明を滅ぼしたことは盛んに言われるが、アメリカ、イギリスがインディアンに何をしたかは、言われることがない。

これは教訓です。悪口戦争には勝たなければならない。負けてはならないのです。負けると自分の国は悪い国だと思い込み、国民が気力を失い、スペインのように没落してしまうのです。

平沼 日本がそうなっています。

渡部 私の娘がいまジュネーブの日本語学校で教えているのですが、日本から来た日本人の子供が「原爆を落とされたのは自業自得だ」という趣旨の作文を書いてきたのでびっくりした、と言っていました。日本でそう教えられているのです。これでは勝てるわけがありません。

平沼 国民の気力は端的に領土意識に表れるのではないでしょうか。対馬はかつては七万人ぐらいいたのですが、いまは三万人を切っている。そこに韓国人の観光客が年間九万人もやってきます。それだけではない。海上自衛隊の基地がある湾を臨む一等地の五千坪を韓国人が買い占めて、民宿や船宿をやっている。その土地の持ち主は海上自衛隊に売ろうとしたが、予算がないと断られたということです。そして、韓国国会では対馬は韓国領であるという決議をしているんです。

渡部 その決議に日本は何もしないのですか。

平沼 しないですね。どんなに働きかけても、ただ決議しただけで占拠されたわけではないからと動かない。ハンディキャップ国家なのだから、問題を起さずにやり過ごす、という意識が染みついているのです。

では、竹島はどうか。韓国が桟橋やヘリポートを設け、大砲を設置しているのだから、実効支配していることは紛れもない。だが、外務省は不法占拠と言葉を言い換えて、お茶を濁している。だが、向こうは恒久的な施設を設けて踏ん張っているのだから、これは明らかな実効支配、侵略です。自衛隊の出番ですよ。

だが、不法占拠と言葉でごまかして、自衛隊は出さない。海上保安庁の船を差し向けて、メガホンで「ここは日本領土だから退去しなさい」と呼び掛ける。向こうは大砲をズドンと威嚇発射する。海上保安庁の船はUターンです。こんなことを繰り返している。文字どおりお茶を濁しているだけなんです。マスコミもこのことは報じないし、国民もさして重要視していない。国家にとって領土が如何に重要かという意識が希薄なのです。日本人の気力の衰えの表れなのかもしれません。

渡部 対馬は神話にも出てくる明らかな日本の領土です。竹島も歴史的に日本領であるとする資料は山ほどある。それを韓国領であると韓国が国会で決議するのはナンセンスです。だが、こちらが何も言わなければ、いくらでもナンセンスなことを言い続けますよ。そして、ナンセンスなことでも言い続ければ、それが通ってしまうのが悪口戦争というものなのです。

平沼 フォークランド紛争というのがありましたね。フォークランド島は北半球のイギリスからははるかに遠い。大西洋を隔てて南半球のアルゼンチン沖にあるちっぽけな島ですよ。こんな島、あってもなくても、イギリスにはなんの影響もありません。だが、これが侵されたとなると、サッチャー首相は大艦隊を編成して兵力を送り、敢然と奪回した。

渡部 イギリスはジブラルタル海峡のスペイン側に領域としてはちっぽけだが、権益を持っています。これをイギリスから離せ、となったら、イギリスはスペインとの全面戦争を辞さないでしょうね。

平沼 国家にとって領土とはそういうものなのです。いまのように、日本はハンディキャップ国家なのだから、なるべく波風を立てずにという態度で終始していたら、対馬は韓国に呑(の)み込まれ、竹島は昔からの当然の韓国領ということになってしまいます。領土というのはそれだけで止まるものではないのです。一つを呑み込むと、次の段階が出てくるものだということを知らなければなりません。

渡部 対馬の次は壱岐(いき)、さらには北九州も昔から韓国と関係が深いから、北九州も韓国領と手を伸ばしてくる。

平沼 笑い事ではなく、その可能性を考えておくのが領土問題というものなのです。

渡部 その意味で韓国ばかりではなく、対中国の問題もありますね。

平沼 あそこは領土を大陸棚でとらえる考え方です。尖閣(せんかく)諸島は領土問題の瀬踏(せぶ)みで、その向こうに沖縄を含んでいることは、当然考えられることです。

渡部 四方を海に囲まれた日本は例外だが、私はアジアに共通する領土感覚をしっかり踏まえておくべきだと思います。

ことに中国がそうですが、アジアには国境の感覚がないのですよ。彼らは自分のいる場所が自分の領土なのです。シナ大陸の歴史を見ると、絶えず版図が延びたり縮んだりしているのはその表れだし、どんどん海外に移民してそこに自民たちの生活圏をつくるのも同じです。そういう領土感覚の国が身近にあることをしっかり踏まえておかなければなりません。


以下、長くなるので次回に続けます。


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コメント
この記事へのコメント
諦観改めさん、いつもコメント下さりありがとうございます。私は現在体調不良でダウンしておりまして、お礼のみで失礼します。
2009/04/07(火) 15:48 | URL | spiral(管理人) #l7AT0Hcg[ 編集]
難しい
私も田母神空幕長を切ったときに首相官邸に抗議のメールを出してがっかりした一人でしたが、その後の展開をみるとやむを得なかったのかなと思っています。
麻生首相は徹底したリアリストなのだと思いました。自分の理想を実現するためには、身内といえども切り捨てていくすごさを知りました。そしてその後のマスコミの陰険なバッシングの嵐にも負けぬ粘り強さは特筆ものです。さすが吉田元首相のお孫さんと思いました。
願わくば安倍元首相が麻生首相くらいのしたたかさを身に着けていたらと思わずにはいられません。
今はもう何があっても、我が国の国体を瓦解させんとする小沢民主党に政権を渡さぬために、麻生首相をとことん支援していこうと思っています。
それにしても、河野洋平氏のとんでもなさは救いようがないですね。息子さんも同じ血を引いているのでしょうか。
2009/04/06(月) 21:30 | URL | 諦観改め #HcyS91tQ[ 編集]
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