『散る桜、残る桜も散る桜』 父祖の思いを受け継ぎ、次の世代へと伝えたい
今回は、モラロジー研究所発行の『れいろう』平成20年12月号より、中山理氏と森田健作氏の対談記事を引用します。前回の記事の続きになるので、初めてお読みの方は、前回の記事からお読み下さい。
(↓をクリックすれば前回の記事がご覧になれます)
■日本の歩む道 前編


■国旗と国歌、法律への道

中山 そういえば、森田先生は文部政務次官を務められていて、行政と学校の間に入ってご苦労をされたとか。

森田 十年ほど前に、二度務めさせていただきましたけれども、やはりすることが多いんですね。政務次官の期間というのは、一期一年くらいです。その間にすべてをやろうとすると必ず中途半端になってしまう。そこで、私が本当に頑張ったのは「国旗国歌」の問題です。まずこれが基本だと。

国旗国歌に敬意を示すことができない人間は、外国に行ってもその国の国旗国歌に敬意を示すことができない。絶対に尊敬されることはりません。

中山 国旗国歌を敬うという当たり前のことができていない。日本人の中には、その部分に関してだけはグローバルな感覚のない人もいますね。

森田 そうですね。国旗国歌をないがしろにする人は、外国では絶対に尊敬されません。

そこで私は文部政務次官として国旗の掲揚率や国歌の斉唱率の低い地域に行って、改善に努力しました。おかげさまで今では一〇〇パーセントに近い状況になりました。

でも、私たち行政の側が国旗国歌の問題に取り組んで、どんなに力を傾けても、実際に答が出るのは五、六年後なのです。とにかく時間が足りないのです。ですから、教育問題もそうですけど、国が、そして政治家が一人二人ではなく全体で明確なビジョンを持ってビシッとやっていかないと、なかなか直らないと思います。

中山 いまだに「日の丸」「君が代」に対して戦争の旗、戦争の歌だから変えようという主張があります。でも旗や歌があるから戦争をしたわけではありません。日本の国旗を掲げて、世界各地でよいことをたくさんすればよいのです。国旗国歌を変えるというのは本末転倒で、国際的に見ればとんちんかんな理屈です。今は国旗国歌法(国旗及び国歌に関する法律)として結実していますから、森田先生がなさったことはとても素晴らしいことだと思います。
森田 実を結ぶまでに五年以上。やはり大臣の任期が短いですね。それと、教育の現場だけでなく、マスコミの反発もありました。

中山 私の立場でこんなことを言ってよいのかわかりませんが、教育者の中にも国家に対して悪い先入観を持つ人がいました。地位のある人を叩き落すことが正義という間違った認識を持っていることが問題です。

それと一部のマスコミの煽動です。発言の揚げ足をとって騒ぎ立て、民衆を煽(あお)って政治家をその座から引きすりおろします。それなのに、マスコミは自分の発言には責任を持ちません。そして、本当に大事なことは国民に伝えませんし、多くの国民もそれを知ろうともしません。

■日本の常識と非常識

森田 日本は、精神的鎖国をしている国かなと思うことがあります。というのは、世界のあちこちに行かせていただいて、自分の感覚に疑問を持つことがよくあります。例えば、皿を割ったら、日本人なら「ごめんなさい」です。しかし、ある国では、「すべる洗剤が悪い」「割れる皿の方が悪い」という感覚が正しかったりする。そういうことは私たちの感覚、基準で見ればおかしい。でも世界にはそれが当然のこととして受けとめられているところがたくさんあります。

東シナ海のガス田問題が起きたときには、中国政府の高官は軍艦を出せと言いました。尖閣諸島付近で台湾の遊漁船が日本の巡視船と接触し沈没した事故が起きたときには、台湾の首相は「最後の手段として開戦も排除しない」と発表しました。そして、国民の支持を得ています。これが、もし万一、日本の高官が同様の発言をしたら大変な騒ぎになるでしょう。

多くの日本人は、常に自分たちの基準で世界を見ようとします。当たり前のように思っていますが、これこそ「日本の常識は世界の非常識」と言えるわけです。

中山 私は諸外国の人たちと話す機会が多いのですが、やはり日本は”一国平和主義”という感じがします。戦後一滴も血を流していないのは立派なことですが、その反面、平和が当たり前だと思っているところがありますね。

森田 それも含めて、日本人の特殊性と言いますか、和の精神、一歩下がって相手を立てる精神、こういう精神性があるのは、おそらく世界中で日本だけです。これが当たり前に世界で受け入れられると思ったら大間違いなんです。ですから、そういう気持ちは大切にしながらも、世界は違うんだぞと思って行動していかないといけません。

私は、日本も本当の独立国になろう、というのが基本的な考えなのです。自国民を外国に拉致されて、その救出をアメリカに頼むなどということはおかしなことです。自国民の生命、財産を守るのは当たり前で、現に憲法でも生存権、財産権は保障されています。

国連を中心とした平和外交とよく言われますが、とんでもない話です。あそこは武器を用いない戦場です。

世界は拳骨(げんこつ)を出されて頭を下げれば、一つ殴られて済むところを三つも四つも叩かれます。だから、相手が拳骨を振りかざしたら、こちらも拳骨を握り、反撃の意思があることを示さなければならない。そこから交渉が始まるのが世界なのです。謝れば済む、話し合えばなんとかなるというのは、日本の中でしか通用しない考えです。


中山 国際社会は弱肉強食で、国益追求の場です。国益を得るためには、力が必要です。外交交渉の背景には軍事力も必要です。

自衛のために軍事力を持つということは、戦争をすることとはまったくの別問題です。国の力には経済力や技術力など、いろいろな種類の力がありますけど、ハードパワーとして軍事力も自分の国は自分で守るために必要です。

そして、ソフトパワーの文化力と道徳力。それらを兼ね備えていないと一人前の国家とはいえない。この世界の実情に気づいていないからこそ、一国平和主義であって、平和ボケしていると感じるのだと思います。


■「頑張った」と言えるように

森田 力というと、暴力はいけない、話し合いで、というのが戦後のスタンダードになっていますね。

中山 はい。本当は力なき正義は無力であり、正義なき力は暴力なのですが、正義を実行するためには力が必要だということを教えません。

世の中が平和であることは理想ですが、現実はそうではない。防衛というのは正当な行為です。日本は、その国防という視点が意識の中から抜け落ちがちです。

経済力と文化力はある。でもその文化のようところをほとんど教えません。今は物質主義になり、金銭万能主義、拝金主義に偏っている。そういうところが残念ですね。

森田 拝金主義で思い出しますのは、ライブドア騒動があったときのことです。小さい子供が株を買う姿が報道されていました。要するに、簡単にお金を稼げるじゃないか。汗をかいて真面目に働くのはバカバカしい。世の中は楽に渡っていくのがいい。そういう誤解を与えたとしたらとんでもない話です。

確かに短い期間、苦労せずに世の中を渡っていくことはできます。でも、長い期間を見れば、真面目にやった人が最も収支が合うんです。一生懸命やることが一番楽なんです。頑張ることが楽なんです。昔から言われた勤勉、努力ですよね。

中山 日本の文化の中で、素晴らしいと思いますのは、伝統文化の底にある宗教的思想と道徳的思想です。

森田 例えば、どのようなものでしょう。

中山 日本の昔話に「猿蟹(さるかに)合戦」があります。あの中に生物ではないウスや牛の糞が出てきますよね。それらが蟹と連合して猿と戦います。これは日本人にとっては当たり前かもしれませんが、西洋にはない発想なのです。

西洋では、生物と無生物の間にははっきりと一線が引かれて分かれている。日本の場合は、無生物にも霊的なもの、生物性を認めます。ですから、メジャーリーグのイチローが、グローブを尻の下に敷いていたアメリカ人に対して怒りましたね。グローブは人の想いがこもった修行の道具で、単なる物ではないと。

針供養や包丁供養にしても、物に対して精神性を求めるというのは、実に日本的なんです。この発想は物を大切にするという考え方に通じ、その精神文化はDNAに組み込まれています。実際に日本が省エネに成功し、エコロジーでもアメリカや中国に比べて優等生なのは「もったいない」という精神がその背後にあるからです。世界よりも一歩先行く文化の伝統があるわけです。それを日本人自身が気づいていない。

森田 繰り返しになりますけど、相手を思いやる気持ち、一歩下がる気持ち、武士道精神など、そういうものが日本人の底に流れています。また、茶道にしても華道にしても、それに没頭する西洋人が増えているというのは、その精神性、精神道に惹(ひ)かれている部分が多分にあるのではないでしょうか。それを売りにすると言うのは行き過ぎかもしれませんが、この「道」というものを、私たち日本人の文化、歴史、伝統を含めて学校で教えていくべきなのかなと思います。

中山 教師として耳が痛いです(笑)。

私たちは日本人として生まれてきました。国家にしても自分の親にしても、選んで生まれてきたのではありません。ある意味で運命的、宿命的な出会いなんです。これは逆も言えることであって、国家が自分を選んだのでも、親が選んで授かったわけではない。まことに宿命的なものです。ですから、その宿命をそのままありがたく感謝で受け入れることが大切です。

国が悪い親が悪いと言って、交換することはできません。だからこそ、国や親に対して唾を吐くようなことをせず、国に、親に、そして子供に対して感謝をする。そういう心を持つことが、人間として重要なことです。

それから、国家の象徴であるご皇室があります。ご皇室は道徳的手本ですから、私たちも心から敬意を表する必要があるでしょう。


生きていくため、なんらかのロールモデル(よき手本)、また精神的支柱が必要です。それを見つけ、学びなさいということをお伝えしたいですね。

森田 それに尽きると思います。

私流に言うと、例えば、お子さんには夢を持ちなさい。頑張ることがいちばん楽しいんだよということを伝えたいです。

私の父は昨年九十八歳で亡くなりました。明治の生まれです。母は今九十歳で健在、大正の生まれです。この世代の先人、先輩は、好むと好まざるとにかかわらず、赤紙一枚で自分の青春を、命を、この国のために燃やしてこられた。私たちのために頑張ったんです。その前の世代の人も多くのご苦労をされてきたことでしょう。ですから私は、先人を尊敬しています。ありがとうと、心から手を合わせます。

では、振り返ってみて、今、五十代六十代の私たちの世代は、お父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃん、そして子供たちや孫に、頑張ったと何が言えるんだろうかと。先人が築いてきたこの豊かで平和な世界を、享受しているだけではないのか。そんなことを思うわけです。

今は、教育においても経済においても、いろいろと問題がある時代です。こういうときこそ私たち一人ひとりが、努力しなければならない。日本人はすばらしい国民だし、頭もいいんです。だから、こういうときにこそ、英知を集めて、次世代のために頑張ろうじゃないかと。私はそう思いますね。

中山 お互い頑張っていきましょう。【終】


私は、これまで森田健作氏のお話を聞いたことは無かったのですが、今回の記事を読み、真っ当な歴史観を持たれている方だと知りました。
戦後教育についても、「公」の精神を教えないとか、自虐的な歴史教育をしているという問題点を的確に指摘されており、国防、外交についても、世界の常識、現実というものを踏まえた上で、正論を言われています。

私は、森田氏のような良識ある立派な方がいることを、大変嬉しく、また心強く思いました。

果たして、今の政治家に森田氏のような方がどれ程いるでしょうか。

恐らく少数しかいないでしょう。ですから、森田氏のような方は大変貴重な人物だと思います。

その森田氏、ニュースによると千葉県知事選に出馬されるようです。

◆森田健作氏が千葉県知事選に出馬表明…無所属で
 (読売 2009/1/26)

 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090126-OYT1T00868.htm

 千葉県知事選(3月29日投開票)で、俳優で元衆院議員の森田健作氏(59)が26日、無所属で立候補することを表明した。

 森田氏は前回2005年の知事選に無所属で出馬し、現職の堂本暁子氏(76)に約6000票差で惜敗した。政党に推薦は求めないが、自主投票を決めた自民党の国会議員らの一部に、前回選同様、自主的に支援する動きがある。

 同県知事選には、県議の西尾憲一氏(58)、関西大教授の白石真澄氏(50)、社会福祉法人理事長の八田英之(ふさゆき)氏(64)(共産党推薦)が、いずれも無所属での出馬を表明している。

 民主党も経済人らを念頭に候補者の擁立を目指している。3選がかかる堂本氏は去就を明らかにしていない。


千葉県の方、是非森田氏を応援して下さい。

■森田氏近著
ゼロの勇気ゼロの勇気
(2008/11/22)
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2009/02/15(日) 22:18 | | #[ 編集]
>milestaさん
私も、森田氏や平沼赳夫氏といった素晴らしい方を手放すようなことをするから、自民党の支持率が落ちていくのだと思います。自民党には、結党の精神に立ち返り、こうした人材こそ大事にしてもらいたいと思います。
森田氏には是非とも千葉県知事になって頂きたいですね。

>諦観さん
森田氏は前回の選挙では惜敗しましたが、今度は当選して貰いたいですね。千葉県民の良識ある判断に期待したいです。
2009/02/15(日) 18:03 | URL | spiral(管理人) #l7AT0Hcg[ 編集]
愛国者森田健作、頑張れ!
後編も実にいいですね。
是非、森田健作さんには千葉県知事になってほしい。前回6000票差で次点でしたか。当時の千葉県民保守派の方々の落胆ぶりが目の前に浮かんできます。
日本人でありながら日本を愛せない人って一体どういう精神構造なのだろう。不思議だ。
「ゼロの勇気」必ず読みます。
お体を大切に。
2009/02/13(金) 21:36 | URL | 諦観 #HcyS91tQ[ 編集]
森田氏が自公連立の煽りで比例代表にまわるのを拒否し離党したときは、潔い人だと感心しました。その後も千葉県知事に立候補したり、日本の良さを見直そうという映画を作られたり、「日本を良くしていきたい」という思いを行動に移されていて、本当に立派な方だと思います。自民党もこういう人材を手放すようなことをしているから、どんどん魅力が薄れ、支持率が落ちていくのでしょう。

>お子さんには夢を持ちなさい。頑張ることがいちばん楽しいんだよということを伝えたいです。

これ、大事ですよね。お話の中にありましたが、結局真面目に頑張ることが「収支が合う」というのが、昔からの日本人の感覚でしたよね。仮に楽をして一生儲け続けて金銭的に損をしない人がいたとしても、その人はそれで幸せなのでしょうか?森田さんが仰るように、頑張ることが本当の楽しさなのではないでしょうか。
そのことをきちんと子供に伝えないで、勉強させたり、経済感覚を身につけさせようとしたりしたら、拝金主義の人間ばかりが育っていくに決まっています。
今の世界的な経済危機は、拝金主義を正すチャンスでもあると思います。

森田氏には、今回はぜひ千葉県知事になっていただき、地方から日本を変えていって欲しいですね。国政が歩みを止めているような今、期待するのは地方しかないのかもしれません。千葉県民の有権者方々にも期待したいですね~。

2009/02/12(木) 15:48 | URL | milesta #S4B2tY/g[ 編集]
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2009/02/12(木) 15:13 | | #[ 編集]
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