しかし、果たして「はだしのゲン」は手放しで薦められる漫画なのでしょうか。以下、『ぼくらの核武装論』(オークラ出版)より、岩田温氏(日本保守主義研究会代表)の論文を引用します。
■『はだしのゲン』を斬る!
「原爆の悲惨さを描いた名作マンガ」と評される『はだしのゲン』。だが、その内容は自虐史観に基づく究極の左翼プロパガンダ本だった。
■青少年の左傾化に貢献
戦後日本人の左傾化に最も貢献した本、それは決してマルクスの『資本論』ではない。幾多の過激で日本人の精神を蝕む有害な書が出版されたが、青少年の非日本人化(=頽廃)に最も貢献したのが中沢啓治著『はだしのゲン』である。
この極左プロパガンダの書は「反核」のみを主著する漫画ではない。「反天皇制」、「反戦」、「侵略戦争史観」、「在日擁護」、「日本人の残虐性」など、戦後左翼勢力が吹聴したプロパガンダが全て内包された恐るべき漫画である。
物語は終戦末期八月の広島に始まる。主人公ゲンの父は反戦思想の持ち主である。そのことから周囲から「非国民」呼ばわりされ、家族は村八分に遭い、父は特高(特別高等警察)に連行される。その孤立無援の状態の中で、唯一彼らに理解を示したのが近所に住む在日朝鮮人であった。
八月六日広島に原爆が投下され、ゲンは父、弟、姉の三人を失う。ゲンは母と生まれたばかりの妹とともに焼け跡の中を生きていくこととなった。やがて二人の兄が疎開先、軍隊から帰還するが、終戦直後の人々の心は冷たく、辛い生活を送ることとなる。それでもゲンは多くの仲間に出会い、自身そして周囲の仲間も原爆の後遺症に悩まされるが、戦後の混乱期を「たくましい」反日家として生き抜く。母、妹、恋人、仲間の死を乗り越え、新たな挑戦(革命?)のためにゲンが東京に旅立っていった。
ここで第一部は終了し、幸いながら第二部は書かれていない。
そもそもこの主人公の父親の反戦思想がすさまじい。戦時下、竹槍で訓練しているときの話である。
これに対し周囲は冷たく「非国民」と罵るというのだ。
だが、冷静に考えてみれば、国民が一丸となって大東亜戦争を戦っている際にこのような発言をする人が存在するだろうか。この父親のような発言をする人々は、戦後確かにいたであろう。だが、それはあくまで戦後から見た視点ではないか。当時の正直な言葉ではあるまい。戦国時代、織田信長が敵将の首を打ったことを指して「何と野蛮な・・・」と眉を顰めたところで詮無い滑稽な話であり、この発言も、それと同様の「時代錯誤」な話だろう。
■天皇に謝罪を要求
いや、この漫画は更に悪質だ。戦後の視点から見れば竹槍訓練は確かに滑稽だろう。百歩譲ってそこまでは認めよう。どが、どのように考えても狂っているとしか思えないのが、この父親の戦争観である。
「軍部のやつらが金持ちにあやつられ武力で資源をとるためにかってに戦争をはじめてわしらをまきこんでしまったんだ。(国民は)戦争の熱病にかかりだまされているんだ。この戦争はまちがっている」
この戦争観は端的に言って誤りである。大東亜戦争は日本国民の一部が謀り、大多数の国民を欺き、引き起こした戦争などではない。仮に陰謀があるとするならばそれは尾崎秀実らの共産主義者による陰謀であり、財閥や軍部のものではない。米国自身にも存在していた戦う意志、当時の日本の置かれた国際情勢、数百年にも及ぶ激しい人種差別に基づいた欧米の植民地主義への憤り、それらがこの父親からは全て抜け落ちている。当時の日本人は少なくとも大東亜戦争を「義」のある戦争と捉えていた。そして、これは歴史を虚心坦懐に振り返れば正統な解釈である。この父親のような存在は、戦後左翼の教育を真に受けた人がタイムマシーンに乗って戦前に戻らない限り、ありえないだろう。
この馬鹿馬鹿しい発言をした父親が「特高」に連行される。家に帰ってきたところで彼を励ますのが朝鮮人である。朝鮮人が主人公の家へ米を持って来たときの場面である。
朴「すくないですが・・・たべてください」
母「朴さん、どうしてこんなにお米を?」
朴「中岡さんが警察からかえってこられたんだ。めでたいですよ。非国民だのとののしられても戦争に反対している中岡さんをわしは尊敬しているんです。うれしいんです。」
父「朴さん・・・・・」
朴「日本の植民地にされたわしら朝鮮人はむりやりに日本につれてこられて、はたらかされたり戦場へ兵士としてかりだされています・・・戦争のためにどんなに朝鮮人がいためつけられ苦しんでいるか・・・はやく戦争をおわらせて朝鮮にいる女房とかわいい子どものところへかえりたいです」(同一巻六十九~七十頁)
感動的な場面をでっち上げ、お涙頂戴と言いたいのだろうが、そうは問屋が卸さない。確かに戦時中、朝鮮人も苦しかったかもしれないが、同時に日本人も苦しかったのだ。現在の視点から考えれば戦時の苦境は堪えがたいものだろう。だが、それが現実だったのだ。単なる紋切り型のお涙頂戴で済ませる問題ではないのだ。
また戦後主人公ゲンの住む広島に天皇陛下の行幸(ぎょうこう)がある。その前日の先生の発言とゲンの独話である。
先生「えー明日は天皇陛下さまがこの広島にきてくださることになり、広島県民にとってたいへんよろこばしい日だ。みんな日の丸の旗をふってご歓迎するため旗をつくってくることをわすれるな。わかったな」
児童たち「はーい」
ゲン「なにがよろこばしいのだ。わしらの先生はバカじゃのう。天皇は戦争を起こし日本中の街やこの広島や長崎をピカで焼け野原にし、わしのとうちゃんや数えきれない人を殺し、いまも苦しめている戦争の責任者じゃないか。なんでありがたがって歓迎しないといけんのじゃ。おかしいわい。日本人は戦争の反省がたりんのう。わしぁ先生をみそこなったわい。あしたは学校をサボったるわい。ばかばかしい。だけど天皇はよくこの広島へのこのこやってこれるのう。いまも多くの死体が埋まっているこの広島へ。わしだったらはずかしくて苦しくてとても人前には出れんわい。あ~腹がへったのう。なにか食うものはないかのう。天皇はおわびに米でもわしにもってきやがれバーカ」(同五巻三十九~四十頁)
天皇は戦争を起こした張本人で、多くの国民を「殺し」た。それをありがたがる国民は「馬鹿」だという。自らにわびろとまで主張する。ここまでくると馬鹿らしくて論評する気もしない。日本から出て北朝鮮にでも行くことを勧告するしかない。
■「ゲン」を図書館から撤去せよ
ここまでの馬鹿らしい漫画の内容紹介をお読み頂いた皆様も怒り心頭に発する思いをされたのではないか。この愚か極まりない極左反日プロパガンダ漫画を読めば、正常な日本人であれば怒り、嘔吐を催すはずである。
だが、このプロパガンダが小・中・高校の生徒に読み継がれ、少なからぬ青少年に「感動」(!)を与えているのだ。
二十代の諸兄は思い起こして欲しい。学校の図書館、学級文庫に漫画は存在しないはずなのに、何故か、この「はだしのゲン」だけが置いていなかったろうか。そういえば、と思い出される方も少なくないはずだ。
次に、図書館司書のシンポジウムでの発言に注目して頂きたい。
『少年ジャンプ』という、一部には俗悪といわれて不買運動まで起きた雑誌の中に載っていた、その「はだしのゲン」とう原爆のことを扱った漫画が多くの読者の支持を受けていたけれども、圧力がかかって連載が中止になり、そこの出版社では単行本として出版されない状態でいたときに、その漫画を単行本化する動きが起きました。実はその運動にかかわった、私自身がその一人ですが、単行本化と同時に、当時、日本教職員組合にその本の普及活動への協力を求めて、日教組さんがそれに応えて、学校図書館や学級文庫にそれを置くという運動を展開したことがあります。そこから実は漫画が公共図書館へと広がるきっかけになったのです。(日本図書館協会図書館の自由に関する調査委員会編『表現の自由から図書館を考える』日本図書館協会 三十四~三十五頁)
この愚劣極まりない漫画は、日本人を憎悪し、社会主義革命を夢見る狂信集団、日教組によって組織的に買い支えを受けていたのだ。日教組はこの漫画を通じて未来の日本を担う子供たちに「反天皇制」、「反戦」、侵略戦争史観」、「在日擁護」、「日本人の残虐性」といった信念を形成させている。年端もいかない純粋な子供たちに批判力を求めるには無理がある。若い感性で虚偽を真実として受け止め、知らず知らずのうちに左傾化しているのだ。こうして視覚効果を伴って子供の正常な精神は破壊され、不気味な反日イデオロギーの虜となってしまうのだ。子供を洗脳し、過去との断絶を図るのは、ポル・ポトや毛沢東を見ても容易に理解できるように、共産主義者の常套手段である。
日教組の解体撲滅と同時に全学校の図書館からこの有害極まる「はだしのゲン」を撤去しなければならない。これこそが真の教育再生への一歩である。(引用終わり)
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かなり手厳しい批評をされていますが、この「はだしのゲン」が反日プロパガンダの書であることは事実です。
作者の中沢啓治氏は、このような発言もされています。
「三百万人以上の日本人が犠牲になり、やっと手にした平和憲法を守ることは絶対必要。改正論が動き出したら目をつむるんじゃなく、一人一人が立ち向かい、本当の平和を求めなきゃいけない」(二〇〇六年一月二十八日『毎日新聞』神奈川版掲載「平和ものがたり:六一年目の戦後に/番外編 中沢啓治さん/下」)
このような極左思想を持つ中沢氏が、ご自身の思想喧伝のために漫画を利用しているのです。
もちろん、そうした主義主張を作品に込めることは自由ですが、岩田氏が指摘されているような、常軌を逸しているとしか思えない歪んだ思想を喧伝していることに対しては、批判の声を挙げなければならないと思います。
世間一般にはこの作品は名作として奉られています。2007年8月4日の産経新聞にも、「世界へ広がれゲンの心」と題して中沢氏の紹介記事が載っていました。
しかし、このような思想が世界へ広がっては困るのです。産経新聞には、「はだしのゲン」の中身を精査した上で、適切な批判記事を載せて欲しかったです。
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読みたくないやつは読まなければいい。
ただそれだけだと思うけどな。
ちなみに俺は読みたい派。
小学校高学年なら内容はわかるだろう。
今思えば、かなり左翼的発言のオンパレードだと思います。
それと漫画のゲンも2巻まで読んでいたのですが・・・
まさかこんなに危険な漫画だとは思いませんでした。さっさと捨てることにします。
『はだしのゲン』が聖書化されているのは、ゲンで書かれていることが、日教組の唱える歪んだ歴史観と合致しているのが、要因の一つとしてあるでしょうね。そして、日教組と同じく歪んだ歴史観のマスコミも、この書を持ち上げてますからね(保守系の産経新聞でさえ褒めてますしね)。
今の日本では、こうして聖書化されたものに対しては、批判の声は挙げにくい空気がありますから、これではいけないと思い、拙ブログで批判の声を取り上げました。
「はだしのゲン」は、学校の図書館や学級文庫に置くような書ではないですよね。
今読んだらツッコミどころ満載かもしれんが
中学生だった当時は……
グロありギャグありの漫画として読んでましたっけ。
正直、何でアレが聖書化されてんのか…
俺には理解できないですよ。
ゲンに散りばめられている左翼思想は、子供だとそれとづかず読んでしまいますよね。そして、自然と左翼思想を刷り込まれてしまうのが怖いです。子供には読ませたくない書です。
大人になってから知ったことが多すぎて、
過去を振り返ると、ほんとなんで読めたんだろうと、
たくさん思わされた。
この「はだしのゲン」は、最近テレビドラマやアニメ化されて、世間的な評価も高くなってます。そして、麻生大臣も高く評価して、英訳してNPT再検討会議準備委員会で各国代表に配ったことが報道されました。
このままでは、左翼思想に基づく誤った天皇観や戦争観が広まってしまうと考えたので、今回記事にしました。一人で多くの方に、このことに気づいてもらえればと思います。
>タミさん
分かりました。新しいブログの方のアドレスに変更してリンクリストに掲載しておきますね。
一応タミブロの新しいブログを作成しましたがジャンルが違うので一方リンクでも構いません。TOPページの【政治・経済】欄に spiralさんのブログを載せますので(^^)
ヨロシクお願いします♪
このような漫画が「称賛」される理由が何一つないのに、未だ世間で評価されている事実はなんとしても変えていかなければならないと思いました。
原爆の悲惨さを訴えることは大事だと思いますが、左翼思想の喧伝までされたのではたまりません。岩田氏の主張通り図書館から撤去してもらいたいです。
>tonoさん
>「反日」の基本は、全て「人の勢」ですから!
まさにその通りです!
tonoさんはこうしたフレーズを作るのが上手い
ですね。
>milestaさん
日本には何故こんなにも歪んだ歴史認識を広めようとする人々が多いのか、本当に不思議です。
milestaさんの言われるように、戦争についても、原爆についてもイデオロギー抜きで正しく捉えられるようになって欲しいですね。
>sesiria さん
私も「心ならずも」という言葉は英霊に対して失礼だと思います。多くの方は、祖国を守るため勇敢に戦われたのです。このことは、小野田寛郎氏も指摘されていることです。
戦後の歪んだ歴史観は、一掃しないといけませんね。そして、真っ当な歴史観を多くの方が持つようになれば、日本も良くなると思います。
あと、よく映画やドラマで「絶対死ぬな」とか「生きて還って来い」というセリフが聞かれますが戦争に行くのに死ぬなというのは逃げ隠れしてろと言うようなもの。そんな逃げてばっかりの兵隊だったら、そりゃあ負けるわ。「心ならずも」とよく言われますが
そんな人ばかりではなかったはず。自分が戦ってどうにか勝ってやる、という
勇ましい人は多かったと思います。それを何ですか、日本人をそんな腰抜けの集まりみたいに。英霊方に失礼ではないのか。
全て戦後の歴史観に基づいて言ってるだけだ。ゲンもそう。原爆の惨たらしさを表現するのは良いけれど、反日的表現は戦後のサヨク的な視線からに他ならない。
ここまで書いてあるとは知りませんでした。(前半の原爆投下あたりまでしか読んでなかった)そういう事なら私は徹底的に日本を擁護する。ここまで言われるほど日本は悪くない。
許せません。
特に、天皇陛下に対するゲンの言葉は、漫画の中の台詞とはいえ、許せない。日本は言論の自由があるのですから、書くのは勝手ですよ。だけど、それを子供達や世界に広めようというのは、日本人のやることとは言えません。これでは、この漫画を世界に広めたからって「原爆をやめよう」ではなく「天皇制をやめてしまえ」と言われてしまいます。
またぞろ歴史認識の問題ですね。何のために、どんな背景があって、戦争に向かってしまったのか。原爆の「加害者」は誰なのか。早くイデオロギー抜きに正しく捉えることが普通になって欲しいです。
「美味しんぼ」同様多く読まれているので、質が悪い。
左翼のプロパガンダは、洗脳し易い「事実」探しからはじまり、事実の説明かと思いきやあれよあれよとロジックが曲がって行きます(取り舵いっぱい)。
よく「自虐史観」とか言いますが「日本が悪い」というのは、「自虐」じゃなくて、やはり「反日」ですよね?
「自」って誰のこと?
「反日」活動している人って「自虐」なんか全く無いですからね。
「反日」の基本は、全て「人の勢」ですから!
原爆は悲惨なものでこのような悪魔の兵器を使用したことは許せないという主張なら分かります。でもこの漫画には日本憎しという心理がまず根底にあっての原爆憎しと見受けられます。戦後のプロパガンダそのものです。
これのテレビ化を見た人の感想がフジテレビの掲示板に載っていましたが少し読むだけでもプロパガンダが浸透したなあ、思い通りの感想にそういう勢力はほくそ笑んでいるのだろうなあと悔しく思いました。
岩田氏の論文でこの漫画の危険性がはっきりと分かりました。子どもにも大人にもこのような問題点を知らしめていかないといけないと思いました。
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