『散る桜、残る桜も散る桜』 父祖の思いを受け継ぎ、次の世代へと伝えたい
今回は、『通販生活』07’夏号の、「これからの自衛隊はどうあるべきか、5人の視点」という特集より、長谷川三千子氏(埼玉大学教養学部教授)の論文を引用します。

この特集は、「憲法九条を変えるかは変えないかは、せんじつめれば自衛隊のかたちを具体的にどう決めていくかということ」ということで、5人の識者の方に自衛隊についての意見を伺ったものです。

『通販生活』は、タイトル通り通信販売のカタログなのですが、時事問題についての特集も載せています。論調は完全な左寄りで、読んでいて首をかしげる箇所も多いのですが、一応自分達の論調とは異なる方の意見も載せています。

今回、5人の識者の中で長谷川氏の意見がまさに正論だと思いましたので、引用しました。


■国民の生命と安全を守るためにも、また、独立国家として他国と対等に付き合ってゆくためにも、軍事力は不可欠です

これからの自衛隊に求められるものは何かと言えば、まず第一に、その名の通り、しっかりと「自衛」の役割をはたすことだと思います。さすがに近頃では、「われらの安全と生存」は「諸国民の公正と信義に信頼して」保持すればよい、武力などいらぬ、と公言する人は見かけなくなりました。こうして現実に北朝鮮からテポドンが飛んでくる、核爆弾の開発も着々と進んでいるらしい、ということになると、これを物理的に防ぐ方法を講じておかなければならないのは、誰の目にも明らかですからね。

それでもなお、やはり外交中心で・・・という人もいます。しかし、外交が大切だからと言って、物理的な力が必要なくなるというものではありません。いまの6ヶ国協議を見ても分かる通り、外交は常に成功するとはかぎらない。国民の命がかかわっている事柄について、すべてを外交任せにするなどということは余りにも危険です。

しかも、外交が本当にその機能を発揮するためには、その背後に確固たる「力」が存在していることが不可欠なのです。現にいま、北朝鮮がとにもかくにもアメリカの出方を気にしていて、日本のことなど鼻にもひっかけない、という態度なのは、アメリカが徳の高い国だからでもなんでもない。アメリカの力が強いからです。もし本当に外交の大切さを認識しているのならば、自衛隊は小さくてよい、どころではない。もっと強くあれ、と叱咤激励すべきでしょう。
■われわれの生命と安全を物理的に守るには

では、いまある現実の脅威に対して、いったいどのような物理的方法でわれわれの生命を守ったらよいのか、ということですが、やはり、第一番にとるべき方策は、ミサイル防御(MD)システムの完備でしょう。これまでも、自衛隊については、「侵略」のための戦力をもってはならぬ、どこまでも「自衛」のための戦力でなければならぬ、ということがきびしく言われてきたわけですが、その点で、このMDシステムはまさに、文句のつけようがない、専守防衛システムそのものと言えます。

はたして、MDシステムによって、飛んでくる核弾頭つきミサイルを確実にすべて撃ち落せるのか、そんなシステムを構築しても100%撃ち落せなくては意味がない、といった意見もありますが、これは暴論です。たとえば、耐震強度の基準などいくらで定めても、超巨大地震が来たらば崩壊する建物が出るのは防げないのだから、そんな基準は廃止してしまえ、と言うようなものです。

しかも、迎撃ミサイルの命中精度はこれからさらに上げてゆくことが可能ですし、それを複数配備して、いわば弾幕を張るようなかたちをとれば、全体として、命中精度をかぎりなく100%に近付けることができます。もちろんお金はかかりますが、(おそらくは何十万単位での)われわれの生命がかかっていることであれば、高いの安いのと言っていられる問題ではありますまい。

ただし、ここにもう一つ、より深刻な問題があります。すなわち、こうしたシステムと言うものは、単にミサイルを沢山作って並べればよいとうものではない。絶えず周辺諸国の動向に目を光らせ、正確な情報を手に入れ、宇宙衛星からもしっかりと監視しつづける、ということが必要です。ところが、そのような分野において、現在の日本はほとんど全面的にアメリカに頼っているのです。日本ひとりの力では、我が国の国防はどうにもならない――こうした絶望感は、安全保障の問題を深く専門的に知っている人ほど、強く抱いているように思われます。

そしてここから、もう一つ別なかたちの<無責任な国防論>が出てきます。すなわち、本当に効率よく確実に日本国民の生命を守るには、もう四の五の言わずに、アメリカにまかせてしまおう、という意見です。確かに現実的な意見ではあります。実際、この60年間とにかく日本がどこからも武力攻撃を受けなかったのは、世界各国が日本国憲法第九条に深く感銘を受けたからなどではなくて、日本が事実上、(世界の最強国家である)アメリカの属国となってきたからです。これからもアメリカの力に頼って「われらの安全と生存を」保持しよう、というのは決して突拍子もない考えではありません。

しかし、ここでもう一つ大事な問題が出てきます。自衛隊は、国民の生命を守るということの他にも、もう一つ大事な使命を背負っていて、それは国家の独立を保持するという使命です。そしてこれだけは、他国に肩代わりしてもらう訳にはいかないのです。

■アメリカに頼るだけでは独立国家たりえない

「国家主権」と言う言葉があります。どの国も、自分たちの政策を自主的に決断し、他国と対等に付き合う権限を持つ、という考え方で、近代国際社会は、こうした国家主権を互いに尊重し合うことで成り立っています。しかし、この国家主権というものは何に支えられているのかと言うと、物理的な軍事力がそれを支えているのです。

実はもともと、われわれが「主権」と訳しているこの言葉は、西洋語で「最高の力」という意味の言葉でした。つまり各国はそれぞれ他に侵されない「最高の力」を保持することによって独立国家たりえている、という発想なのです。自前の軍事力をもつことの必要性は、ここに発しています。見栄やプライドの問題ではない。この近代国際社会において日本が一個の独立国家として歩んでゆくことができるためには、どうしても自分自身のものである「力」が必要だ、ということなのです。

同時にこれは、日本国憲法第九条二項がどうして欠陥条項なのか、その根本理由の一つでもあります。つまり、もしこの第九条二項を忠実に守ったとすると、日本の持つ「力」はゼロになる。そしてそれは、日本が一個の主権国家ではありえない、ということなのです。もともと日本国憲法は、アメリカに軍事占領されて主権を失っている時に出来た憲法です。このこと自体、憲法の常識からするとあってはならないことなのですが、そういう特殊事情のもとだったから、第九条二項という欠陥条項も存在しえた、とも言えます。しかし、日本が講和条約を結んで独立国家となった時点で、このような条項は許されないものとなったはずなのです。

それがそのまま今も存続しているということと、日本の軍事力がかくも大幅にアメリカに依存しているということは、同じ事柄の両側だと言ってよいでしょう。形式の上では独立国家になっても、アメリカの日本占領は、物心ともどもいまだに続いている、ということなのです。

もちろん、今すぐアメリカと訣別せよなどというつもりはありません。こつこつと地道に自前の防衛力を築いてゆかなくてはならない、ということなのです。また、それなしには同盟関係の存続ということすらおぼつかなくなるでしょう。国際関係はどこまでも実利計算の世界なのですから。

最後に一つ、日本の核武装について様々な論議がありますが、それを議論する前に、ぜひ振り返っておきたいことがあります。本来、アメリカの原爆投下は、「不必要ノ苦痛ヲ与フベキ兵器」の使用として国際法違反に問われるべきものでした。ところが、東京裁判において被告席に座らされたのは日本の軍人と指導者のみで、原爆のことは問題にすることさえ許されなかった。そして、日本を徹底的に悪玉にすることで、日本の都市に投下された核兵器は、使用禁止兵器として特定されることなく、たちまち旧連合国のほとんどが所有する兵器となったのです。この歪んだ構造に目をつぶったままでは、核武装論議も、どちらも上っ面の議論にしかなりません。われわれにいま必要なのは、本当に筋の通った議論なのです。(終)


「外交が本当にその機能を発揮するためには、その背後に確固たる「力」が存在していることが不可欠なのです。・・・北朝鮮がとにもかくにもアメリカの出かたを気にしていて、日本のことなど鼻にもひっかけない、という態度なのは、・・・アメリカの力が強いからです。」と長谷川氏は言われていますが、その通りだと私も思います。拉致問題や竹島・北方領土問題が全く進展がないのも、日本が外交下手ということもありますが、やはり確固たる「力」を持っていないからだと思います。国際社会は「力」によって動いているのであり、その背後に「力」なき発言は、国際社会では聞き入れられないことを、日本人は知るべきだと思います。

そして、憲法九条の欠陥についても、長谷川氏の言われる通りだと思います。日本の持つ「力」をゼロにすることは、日本が主権国家ではないということになり、これでは国民の生命も、国家の独立も守れません。

昨日は憲法記念日で、憲法改正について各局のニュースで取り上げられていましたが、現実を見据えた、筋の通った議論をすることが大切だと思います。

余談ですが、日本が占領下にある時代に、アメリカによって強要された占領憲法とでも言うべき性格の現日本国憲法を記念する日など、無くした方が良いでは、と個人的には思います。


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コメント
この記事へのコメント
>milestaさん
私も加賀乙彦氏の「永久に」というのは危険な考えだと思いました。milestaさんの言われるように、その時の状況に応じて、臨機応変に立ち回れるようにしておかなければなりませんよね。

>ハハサウルスさん
ほんとに“護憲=九条死守”という論調にはうんざりですよね。ハハサウルスさんが、「つい眉間に皺が寄ってしまいました」という気持ちも分かります。
憲法改正=軍国主義復活という考えも意味が分かりませんよね。朝日新聞などが、やれ「軍靴の足音が聞こえる」とか「いつか来た道が見える」などといった表現を使い、憲法改正が軍国主義復活につながるというようなイメージ操作をしますが、こうしたこともいい加減止めて欲しいですよね。
2007/05/10(木) 22:58 | URL | spiral(管理人) #-[ 編集]
あぁ九条
私の地元でも、護憲を唱えながら市内を走る車を見かけましたが、つい眉間に皺が寄ってしまいました。
以前から“護憲=九条死守”という論調にうんざりしていました。憲法改正は九条以外にも必要だと思われます。永続する憲法など有り得ません。そして中でも、国の防衛に関わる九条は今や改正されて然るべき時かと思われます。それは決して好戦的になるということではなく、平和を望むからこその改正という方向もあるはずです。
九条にさえ触らなければ憲法改正OKなどという論調も、今の日本を象徴するようで情けなくなります。日本人が日本人の為に作り上げてこその「日本国憲法」のはずです。憲法改正=軍国主義復活という思考回路はどうつないだら出てくるのか理解に苦しみます。
2007/05/10(木) 02:23 | URL | ハハサウルス #-[ 編集]
ありがとうございます。
ご丁寧にわかりやすくまとめていただきありがとうございます。

一番気になったのは、加賀乙彦氏の「永久に」という言葉。外交や防衛は相手があることなので、「永久」とか「絶対」という考え方は危険だと思います。臨機応変に立ち回れるようにしておかなければならないのではないでしょうか。
その点、長谷川氏の

>こつこつと地道に自前の防衛力を築いてゆかなくてはならない

というところ、非常に現実的で賛同できます。
2007/05/08(火) 18:27 | URL | milesta #S4B2tY/g[ 編集]
>ハハサウルスさん
長谷川氏のような正論を言われる方が、もっと増えるといいですね。
先日は憲法記念日ということもあり、九条を守り平和を唱えてさえいれば平和は保たれるんだという意見を、新聞やマスコミで多数見聞しました。私の地元の山陽新聞も、護憲一色のおめでたい内容で、この国の行く末を改めて憂慮しました。
日米同盟は、現在のような日本がアメリカに一方的に護ってもらっている関係ではダメだと思います。日本も独立国たるべく「力」を持ち、独立した国どうしの、お互いが頼るに足る関係になることが肝要だと思います。

>milestaさん
今回の記事で引用した「通販生活」の論調は護憲の立場で、残念ながら長谷川氏の意見は「自分達の論調とは異なる方」に相当します。
参考までに、その他4人の方の意見を紹介します。

■伊勢崎賢治氏(東京外国語大学大学院教授)
日米同盟を優先するためだけの自衛隊の海外派遣は、かえって日本の国益を損ないます。そして、憲法九条は変えるべきではない。

■岡崎久彦氏(元駐タイ大使)
集団的自衛権の行使を認めて、自衛隊を積極的に海外派遣し、日米同盟を強固にしていくべきです。

■加賀乙彦氏(作家、精神科医)
米国の言いなりにならないためには、在日米軍基地の撤廃と日米安保条約の解消を実現して、自衛軍を保持すべきです。
※加賀氏の九条改正案
第一項 日本国民は、自衛に限ってのみ交戦できる陸海空軍を保持する。ただし、核兵器等の大量破壊兵器の生産・保持は永久に放棄する。

第二項 日本国民は、わが国に外国軍隊の基地は永久に置かない。

■山田朗氏(明治大学文学部教授)
自衛隊は、国境警備隊と国家レスキュー隊に改組・縮小していくべき。海上保安庁プラスアルファの戦力でも国土は守れると私は考える。国と国とのトラブルは九条を具体化する外交で解決するしかない。

それから、憲法改正賛成の人でも九条は残すべきというのは、意外と多いようです。戦後の日本が平和でいられたのは、憲法九条のお陰だという日教組教育の成果の表れでしょう。
2007/05/08(火) 18:08 | URL | spiral(管理人) #d1TckGxQ[ 編集]
長谷川氏の仰ることは至極正論だと思います。が、この雑誌では「自分達の論調とは異なる方」に相当するのでしょうか?このような意見でない人がまだまだたくさんいるのでしょうか?
もしかしたら自衛のためでも軍隊は持つな、核議論はいけない、しかも、アメリカ軍駐留反対という人もまだいるのでしょうか?
憲法改正に賛成という人でも、九条は残すべきという意見を持つ人も多いとニュースで知りました。
日本人のマジョリティーは、どのように考えているのでしょうか?気になります。
2007/05/08(火) 08:53 | URL | milesta #S4B2tY/g[ 編集]
自立
こんばんは。
長谷川氏は以前から冷静、かつ正論を述べておられて好感を持っていました。こういう方がもっと増えて頂きたいものです。
攻撃手段と言うと物議を醸し出しそうですが、自衛手段を持たない国家はやはり主権国家足りえないのではないでしょうか。平和を唱えていればそっとしておいてくれると、本気で思っている人がいるならば、相当おめでたいとしか言い様がなく、外交のバックアップとしての「力」の存在は必要だと思います。
そろそろ(やっとですが)アメリカから本当の意味で自立してもよいのではないでしょうか。その上での同盟こそ望ましいことだと考えます。
2007/05/07(月) 21:59 | URL | ハハサウルス #-[ 編集]
>sesiriaさん
>早く本当の日本の憲法ができる事を願います。
私もそれを願います。占領憲法をいつまで後生大事に持っていても、何も良いことはありません。安倍首相には、憲法改正と言わず、あくまで自主憲法の制定を目指して欲しいです。
2007/05/06(日) 11:33 | URL | spiral(管理人) #-[ 編集]
長谷川氏はいつもすっきりと
正論を仰いますね。全く同感です。
強い外交をする為には強力な後ろ楯が必要ですね。本当にそう思います。それがあってこそ独立国と言えるのでしょう。
早く本当の日本の憲法ができる事を願います。
2007/05/05(土) 22:45 | URL | sesiria #flPMGraQ[ 編集]
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