『散る桜、残る桜も散る桜』 父祖の思いを受け継ぎ、次の世代へと伝えたい
今回は月刊誌「致知」(2007年1月号)より、中條高徳氏(アサヒビール名誉顧問)の文章を引用します。

■縦糸と横糸の織り成すもの
ーわが民族の恥の文化の成立ー

◎わが国を支えてきた縦軸と横軸

九月末、ベトナム視察団長として訪越した。その祭に、繭(まゆ)から糸を紡ぎ、この生糸を染め、機織(はたお)りしているのをつぶさに見てきた。

そういえば、富国強兵策を唱えた明治政府も資源は全くなく、輸出のトップは生糸であった。十月には、明治五年に明治新政府が造った富岡製糸場を世界遺産にしようとの催しがあった。だから戦前は、養蚕(ようさん)の盛んであった信州や群馬あたりでは機織りはよく目にした光景であった。

まず木製の機織り機に縦糸を張る。筬(おさ)にはめ込んだ横糸を左右に運んでタントンタントンと織り成すのである。織り布の誕生である。

綺麗(きれい)な模様の絹の織物の誕生に目を見張る団員たちに筆者は「これぞ日本の姿だ」と咄嗟(とっさ)に叫んでいた。
わが民族が綴(つづ)ってきた縦糸は、地球上他に類を見ないほど長くかつしっかりしたものだ。

その民族の縦糸の中心に皇族があり、その縦糸の長さは確かな史実でも千四百年も遡(さかのぼ)りうる。しかも外国によくあったコンカラー(征服者)ではなく、国民を「おおみたから」と呼ばれてきた。

古来、わが民族は異常なほどに先祖を敬ってきた。親たちは子や孫に、古い家柄を誇り、ご先祖の名を汚してはならない。墓参りをしっかりしなさいとうるさく説いた。田舎に行くほど素晴らしい仏壇があり、花嫁もまず仏壇にお参りし縦糸への参加を誓う。

歴史認識などを終始うるさく言う中国は歴史こそ長いが、各王朝が易姓(えきせい)革命を繰り返し、縦糸はズタズタに切れている。

一方、わが民族の歩んだ歴史を見ると、六世紀に仏教が伝来しても、もともと歩んできた神惟道(かんながらのみち)を捨てるでもなく、新渡来の仏教を徒(いたずら)に排斥(はいせき)するでもなく、神仏習合の生き様を見出し、ますます縦軸を強くしてきた。

また、わが国は豊葦原瑞穂(とよあしはらみずほ)の国と呼ぶように、わが民族は古来、稲作に従事してきた。

最近、世界中が声高に地球との共生を叫ぶが、わが民族は稲作ゆえに古くから地球とともに、自然とともに生きてきた。

田植えは全国各地に田植え唄があるのでも分かるが、隣近所が皆手伝ってやる。

台風や地震も昔からあったはずである。いまのような予知情報はまったくなかった。収穫寸前に突然襲った天災は、自分たちでは到底処理できない神の制裁と捉えたに違いない。いま様に言うならば、筑波大学教授・村上和雄氏の説くサムシング・グレート(人智を超えた偉大な存在)の意志というところか。そしてまた、自分の努力で豊年満作を迎えても、神の恵みと謙虚に生きてきた。氏神を祀(まつ)りそれを感謝した。収穫感謝祭が祭りの原点である。境内の掃除も、祭りの準備も村人全員で行った。祭りの費用も奉加帳が回り、祭りの神輿(みこし)も氏子が総出で担いだ。

それどころではない。自警団をつくり保安に当たり、消防まで村民たちで編成した。

これらを拒めば「村八分」にされるほどすさまじきまでの横軸の構築である。

だから、戦前の田舎では隣の家の戸棚の中が分かったとさえいわれたものだ。

◎失われた絆を取り戻せ

このように世界類稀(たぐいまれ)な縦軸と横軸で織り成された日本の歴史、日本の文化の基調は「恥」であった。先祖がよく見えるから先祖の名を汚してはならない、隣の人や裏の家から笑われないようにするという精神作用がしたたかに生まれた。

士農工商といわれ、社会的ステータスの最も高かった武士たちの自覚がわが民族の恥の文化を「武士道」にまで昇華したのである。

戦前世界の識者たちをうならせてきた「武士道」の国の面影は、いまやまったくない。

昨今、いまわしい事件が頻発するのはなぜなのか。筆者は、戦い敗れた六十一年前、時の占領軍が「歴史、地理、修身」を教えてはならないとの昭和二十年十二月三十一日の指令に最も大きな理由があるとみる。

「国を滅ぼすには武力はいらない。その国の歴史を消せばよい」との説さえある。

有色人種でありながら日本国が世界の五大国になり得たのは、突き詰めればこの縦軸、横軸の織り成す世界稀なる結合体であり、恥の文化・武士道の国であったからである。勝ち組が、負け組たるわが国の最も勝(すぐ)れたところを消去しようと努めるのは、兵法の常であり、当然といえよう。

占領から解放された昭和二十七年四月二十八日、つまり主権を回復した日からの生き様が間違っていたのだ。

徒に個の主張に走り、公を忘れ、権利を主張するに急で義務を説くことなく、縦軸も横軸もズタズタに切れているのだ。縦軸、横軸の再構築のためには、いち早く民族の絆(きずな)、家族の絆、親子兄弟の絆を取り戻さねばならない。


教育、とりわけ家族の躾(しつけ)を徹底すれば、日本に再び陽(ひ)が昇るであろう。(終)


中條氏の言われるように、縦軸、横軸で織り成されてきたのが日本の歴史、伝統文化であり、その基調には恥の文化、武士道がありました。現在はズタズタに切れてしまったこの縦軸、横軸を再構築し、日本人の精神の復興を果たさねばならないと思います。

※今年はこれで最後の記事となると思います。拙ブログに来て下さった皆様には感謝しております。来年もよろしくお願いします。



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コメント
この記事へのコメント
>かっぱやろうさん
今年は、日本人の精神の復興が進む年になって欲しいですね。
こちらこそ宜しくお願いします。
2007/01/11(木) 02:08 | URL | spiral(管理人) #-[ 編集]
いいでスねえ
続いてきた縦糸・・・
あちし達の世代で台無しにしちゃったら。
ご先祖さんに言い訳がでけないでス。
そら困る。
なので。

>日本人の精神の復興を果たさねばならないと思います。

激同でス。
今年もよろすくお願いしまス。
<(_ _)>
2007/01/10(水) 23:49 | URL | かっぱやろう #-[ 編集]
>四季桜さん
初めまして、コメントありがとうございます。

>教養主義の復権や地域コミュニティーの再生によって、「恥の文化」を取り戻せるのではないかと考えています。

私も同意です。今年がその「恥の文化」を取り戻す年になればと思います。
2007/01/06(土) 21:42 | URL | spiral(管理人) #-[ 編集]
はじめまして
>その基調には恥の文化

小生も「恥」の文化こそ日本の道徳観の根幹にあるものだと思います。昨今、「恥知らず」や「卑怯」という言葉が死語になりつつあります。

明治以前の日本には欧米人が驚嘆する価値観、民族性があった。それは庶民が尊敬する対称が倫理観であったこと。グローバル化という魑魅魍魎に飲み込まれ、加速する日本にはなかった拝金主義。

恥の文化が復活すれば、安易にお金による勝ち組や負け組みという区別もなくなるだろう。お金で幸せは買えないが、不幸からは脱出できる魔物だけに難しい。

小生は教養主義の復権や地域コミュニティーの再生によって、「恥の文化」を取り戻せるのではないかと考えています。
2007/01/06(土) 04:55 | URL | 四季桜 #pfktzkFc[ 編集]
>奥様
こちらこそ、よろしくお願いします。
2007/01/04(木) 13:41 | URL | spiral(管理人) #-[ 編集]
謹賀新年
明けましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願いもうしあげます。
2007/01/03(水) 21:09 | URL | 奥様 #-[ 編集]
>タミさん
こちらこそ、拙い記事を読んで下さってありがとうございました。
来年も宜しくお願いします。
2006/12/31(日) 20:43 | URL | spiral(管理人) #-[ 編集]
今年はありがとうございました!勉強になりました♪

2006年もわずか!楽しんでください!
2006/12/30(土) 19:47 | URL | タミ #-[ 編集]
>milestaさん
ご心配をおかけしてすいません。一時はこのままだと年末年始は病院で過ごさないといけないかも、と思っていたのですが、何とか持ち直したので、自宅で過ごすことが出来そうです。
milestaさんにはいつもコメントやアドバイスを頂き、ありがとうございます。来年も宜しくお願いします。
それでは、良いお正月をお迎え下さい。
2006/12/30(土) 13:49 | URL | spiral(管理人) #-[ 編集]
お加減良くなりましたか?

日本は本当に見事に縦糸と横糸がしっかりしている国なんですよね。ズタズタになっているけれど、それでもまた他国に比べたらマシだと思うところもたくさんあります。
来年は多くの人が気づいて、修復が進むといいですね。

今年もいろいろと良い記事を読ませていただきました。ありがとうございます。
来年も、またよろしくお願いします。
2006/12/29(金) 20:30 | URL | milesta #S4B2tY/g[ 編集]
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