『散る桜、残る桜も散る桜』 父祖の思いを受け継ぎ、次の世代へと伝えたい
前回、昭和天皇がいわゆるA級戦犯の合祀について不快感を示されたとするメモに便乗して、分祀論を唱える方々のニュースを引用しました。特に、保守政党であるはずの自民党の古賀誠氏を始めベテラン議員からそうした声が聞かれたのは、呆れるやら情けないやら、無知も極まれりといった感じでした。
マスコミでは、こうした分祀論を唱える方の発言は取り上げるのですが、分祀論を否定し、正論を唱える方の発言は報道しません。本来なら、分祀論を唱える方々を徹底批判し、正論を唱える方の意見こそ取り上げ、いわゆるA級戦犯の分祀などありえないということを世間に周知する役目を担わねばならないはずです。

そこで今回は、國神社が発行している広報誌『國』7月号に掲載されていた、稲田朋美衆議院議員の論文を引用します。大変立派な論文で、このような政治家がいることを、大変嬉しく、また心強く感じました。

■東京裁判開廷六十年に想う
稲田朋美(いなだともみ)
[衆議院議員・弁護士]

最近、一見保守にみえる政治家たちが、A級戦犯分祀論を主張しだしている。まず、民主党の新代表がA級戦犯を分祀(もしくは抹消)して天皇陛下にも國神社に参拝いただきたいといい、また遺族会の会長までが政策提言のなかでA級戦犯を分祀せよといっている。

結論をいうとA級戦犯を分祀する必要はないし、できないし、絶対してはいけないのである。
1.分祀する必要なし
さすがに保守政治家で、中国が分祀せよといっているから分祀しなければならないなどと馬鹿なことを言う人はいない(本心では思っているかもしれないが)。

このところの分祀議論では、「戦死者ではないので祀るべきではなかった」という意見が多いようだ。

しかし、戦犯として処刑された人々は、平時ではなく占領下の不当な裁判(裁判と称することすらおこがましい)により刑死された人々である。戦犯裁判の被告たちは、裁判の名に値しない不当な裁判であることを十分知りながら、敗戦の結果であると受け止めて従容として刑場の露と消えたのである。これは戦死と同じである。

さらにいえば、もともと國神社はペリー来航以来、日本が列強の脅威にさらされて近代化を進めていった過程において、祖国に殉じた人々を英霊として顕彰するところであり、「戦死」が絶対的な要件ではない。吉田松陰先生も合祀されている。小堀桂一郎先生の『靖国神社と日本人』によれば、國神社合祀の一つのパターンとして、無実の罪で処刑された人を合祀して天国で和解する(冤柱罹禍)という考え方があるということだ。いわゆるA、B、C級戦犯で処刑された人々もそのなかに入るといってよい。

従って、「A級戦犯は戦死者ではないから祀るべきではない」という批判はまったくの的外れである。

いわゆるA級戦犯を含めて戦犯を國神社に合祀したことに何の問題もなく、いまさらこれらの英霊を分祀しなければならない理由はどこにもない。ない理由をあると強弁する人々は、なんらかの理由で中国に脅されているか、よほどの利益供与をうけている、もしくは事の重大さを理解していない人々である。

2.分祀することはできない
この点は國神社が何度も明確に説明している。平成16年2月15日、サンデープロジェクトで中曽根元総理がA級戦犯を分祀すべきであると発言したのに対し、國神社は、書面で、分祀そのものができないし、ありえないことを神道の立場からきちんと説明をした。

分祀論者は「できないし、ありえない」といっている國神社に対し、執拗に分祀を求め、小沢民主党代表にいたっては「A級戦犯分祀は形の上ではできないんだけど、僕らが政権をとったらやります。僕がやる。そんなの簡単です」(週刊朝日)などと傲慢きわまりない発言をしている。

もしも、本当に民主党が政権をとって、無理矢理國神社の意志を無視して強制的にA級戦犯を分祀することがあれば、憲法違反である。憲法20条で保障された國神社の信教の自由、宗教活動の自由を侵害することはあまりにも明らかである。

そのようなことすらわからない憲法感覚(すなわち人権感覚)の持ち主が総理大臣になれば、この国は終わりである。この意味からも民主党に政権を渡すことはできない。

3.分祀してはいけない
A級戦犯を分祀せよという一見保守政治家のもっともらしい理屈は「東京裁判は国際法違反だ。サンフランシスコ平和条約は裁判の結果、つまり判決を受け入れただけで東京裁判そのものを受け入れたわけではない。しかし、日本を無謀な戦争に突入させ、敗戦に導き、200万以上の国民を死なせた責任はある。その責任を明らかにするためにA級戦犯を分祀しなければならない」という理屈である。

東京裁判を不当なものであると結論づけている点から保守系の一般の国民にも受け入れられ、かなり説得力をもっているようである。

しかし、日本は独裁者の国ではなかった。一人の独裁者がいて、無謀な戦争に突入したのではない。

さらにたとえ敗戦について国民に対し責任をとるべき人間がいたとしてもそれがA級戦犯として連合国から裁かれた人々と一致するはずがない。

ただ、この理屈のなかで私が唯一「一理ある」と思うのは、日本人は小泉総理も含めて「日本は侵略戦争をしました」というのみで個々の事実関係について総括できていないということである。例えば南京大虐殺30万という数字について政府としてまともな調査をしないために、今年検定を通った高校の教科書にすら「20万人以上とする説が有力である」などとウソが書かれている。

「日本は侵略戦争をした」といって済ますことは、一見反省したようにみえて実は思考停止に陥っている。なぜ日本が戦争を開始したのか、なぜ敗けたのかを含め、1928年(不戦条約ができて国際法上、侵略戦争をしてはならないとされた時点。 東京裁判ではこの年から1945年まで日本は侵略戦争をしたと断罪された)以降の日本の近代史を総括する努力をしなければならない。

その上で日本の失敗は何であったのかを知り、二度とそのような過ちを犯さないようにすることが「歴史に学ぶ」ということである。

それもせずにA級戦犯にすべての責任を負いかぶせて、自分たちだけが被害者づらして、A級戦犯の分祀を主張するものは卑怯者である。

百歩譲って、A級戦犯と敗戦責任を取るべき人が一致していたとしてもA級戦犯を分祀してはならない。なぜならすでに不当な裁判(国際法上の冤罪)で処刑されることにより、その責任はすでにとっているからである。

そして、いかにいいわけしようとA級戦犯を分祀することは、あの不当極まりない東京裁判を正当化するのと同じなのである。東京裁判を正当化することは証拠なしや人違いで1000名にのぼる同胞が処刑されたBC級戦犯裁判を正当化することと同じなのである。

このような暴挙は国家の名誉を守るために断じてやってはいけない。仮に今目先の損得勘定や、総裁選を有利にするためなどというちっぽけな理由でA級戦犯を分祀すれば、祖国に殉じた200万余の英霊、※戦犯釈放決議をしたサンフランシスコ平和条約発効時の先人、戦犯釈放運動に署名した4000万人の同胞の意志を踏みにじり、日本は二度と立ち直ることはできないのである。

※[注釈]
日本政府も国会も、一度として東京裁判によるいわゆる「戦犯」の方々を、国内法的な意味での「犯罪者」とは見なしてきませんでした。
むしろ、その赦免とか名誉回復の方を積極的に進めてきました。政府は、サンフランシスコ平和条約が発効し、日本が独立を回復した昭和27年の10月、当時まだ拘禁中であった12名の「A級戦犯」の赦免さえ連合国に勧告しています。国会も、そうした立場から5回に及ぶ「戦犯赦免決議」を行い、更に「戦犯」として刑死・獄死された方の遺族への援護や、恩給についての法改正も行い、「戦犯は罪人に非ず」とする立法府としての意志を明らかにすることに努めてきました。

国民も、日本が独立を回復すると、「戦犯」の早期釈放を求める署名運動などを各地で始めました。
とりわけ、都道府県や各種団体による戦犯の釈放を求める署名運動が始まり、その署名は最終的に約4千万に達しました。
[注釈終わり]

(中略)・・・日本が真の自立国家になることができるのか、それとも二度と再生することができない中国の属国になってしまうのか、その鍵は「東京裁判」にある。

国民の70パーセントが東京裁判を知らないことが今の國問題、A級戦犯分祀の問題のすべてといっても過言ではない。

今年の5月3日は東京裁判開廷60年目えあった。市ヶ谷記念館にはその法廷が当時とそのままに再現されてある。

・・・裁判の冒頭、清瀬一郎弁護人が「この法廷に被告人らを裁く資格(法的根拠)があるのか」と管轄権の動議を出したというその場所で、60年後の今、今度は私たちがその動議を国民と世界に向けて発信しなければならないと思った。

あの劣悪な環境のなかで、手弁当で国家の名誉をかけて裁判を闘った先輩弁護士たちの意志を無駄にしてはならない。そしてその名誉をかけた戦いは60年後の今も続いているのである。
(引用終わり)


いわゆるA級戦犯の分祀論が、如何に愚かな論であるかは、この稲田議員の論文に書かれていることに尽きると思います。
少なくとも日本国の国会議員を任されている方々には、最低限こうした認識を共有していただきたいです。いわんや分祀論を唱える無知な議員は、今すぐ議員のバッチを外していただきたいです。


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※追記
稲田議員の靖国問題に対する意見が、山陽新聞(平成18年7月31日)に掲載されていたので引用します。

■私見・靖国問題
A級戦分祀論者は、第二次世界大戦は侵略戦争で、A級戦犯はその指導者だという東京裁判の歴史観を持ち込んでいるのが、いかなる歴史観に立つとしても、国のために亡くなった方々に感謝するのは、国民の権利であり義務だ。

A級戦犯分祀は不当な東京裁判を正当化することになる。メモに書かれたことが天皇陛下の意思だとしても、絶対に分祀すべきではない。分祀したとしても、今の天皇陛下が参拝されるかどうか全く分からない。

そもそも連合国が決めたA級戦犯に、罪をなすり付けてしまって良いのか。歴史を再検証しても、一人や二人を「悪い」と決めつけることはできないと思う。

新たな追悼施設などは必要ないし、膨大な債務のある国が、なぜそんな無駄なものをつくらないといけないのか。国難に殉じた人を靖国神社に合祀してきた伝統がある以上、今後新たに国のために亡くなる人が出た場合も靖国に合祀する選択肢があるべきだ。

ただ現憲法の政教分離規定の下で、政府が新たに殉難者を靖国に合祀・慰霊するのは難しい。合祀するためには規定を直すのか、神道は宗教でないと位置付けるのか、きちんと議論すべき時だ。

小泉純一郎首相には靖国神社に参拝していただきたい。国の代表が(戦没者に)感謝と敬意を示すのは当然の義務だ。
(引用終わり)
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コメント
この記事へのコメント
相互リンク、感謝です(^^)

コメントいただけて嬉しいです♪

どうやってブログのことを知ったということですが

自分の訪問履歴からです!

おそらく spiralさんが私のサイトに来てくれたからでは(^^;)

それで自分は来たので♪

感謝!
2006/08/01(火) 00:24 | URL | タミ #-[ 編集]
小泉さんには靖国参拝して欲しいですね・・!!

よかったらリンクしていただけたら感謝です(_ _) 
自分のサイトではリンクしてあります。
返答なかったら外しますので(^^;) 

ヨロシクお願いします♪
2006/07/31(月) 20:38 | URL | タミ #-[ 編集]
>milestaさん
了解です。
私の紹介した本を早速に読んで下さり、さらにブログの記事にまでして下さって、ありがとうございます。
すごく嬉しいです。

>かついちさん
かついちさんの言われるとおりです。いわゆる戦犯とされた方々を「公務死」とみなし、罪人に非ずとした政治家、約4000万人分もの署名を集めた国民、その先人の思いを踏みにじるようなことは断じてやってはなりませんよね。

>たいげろさん
情報ありがとうございます。拙ブログにも、後でバナーを貼らせて貰います。
2006/07/31(月) 15:39 | URL | spiral(管理人) #-[ 編集]
回覧板です
★今、TBSに「国民の怒り」をブチまける時が来た!!★

TBSの放送免許剥奪を求める陳情署名受付フォーム(携帯もOK)
http://www.powup.jp/sign/tbs.aspx

TBS放送免許剥奪バナー(署名数リアルタイム表示機能付)
http://www.powup.jp/sign/tbsbanner.aspx
【署名提出】TBS放送免許剥奪を求める署名OFF 3 (陳情署名中央作戦本部)
http://off3.2ch.net/test/read.cgi/offmatrix/1154197975/
TBS放送免許剥奪OFFmixi支部
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この度、TBS「イブニングファイブ」の安倍官房長官印象操作映像事件
ttp://tnpt.net/uploader/up25/src/up2821.wmv

目標は9月末までに20万名!!


以上、バナーがあるのでお知らせ致しました。
2006/07/31(月) 14:54 | URL | たいげろ #-[ 編集]
分祠論を政治家が語ること自体が
政教分離に違反するということになるのが、まだ理解できないのかなと思いました。そもそも神道は教義もなく教祖もなく、教典もないから宗教ではないという考え方もありますのでそういう意見も不毛なのかもしれませんが。いずれにしても、いい加減東京裁判が国際法にも違反し、その裁判の当事者だった人ですらあの裁判はやるべきではなかったと認めているのだから、日本の政府も国会議員ももう少し東京裁判の間違いなどを勉強なさったらいかがかなと思いました。
A級戦犯とされた方々を戦中戦後の「公務死」と認め、赦免して、戦犯という汚名を返上させた事実をいつからこのような形で再び戦犯に仕立て上げているのか理解できません。こういったことは、A級戦犯の汚名返上のために幾千万の署名を集めて国会の審議にかけて赦免にこぎ着けた国民や政治家を裏切るような行為に他なりません。
2006/07/30(日) 23:05 | URL | かついち #JalddpaA[ 編集]
前の記事にもTBしましたが、この記事の方が関連ありそうなので、こちらにもTBさせてください。
以前spiralさんの記事に紹介されていた本の紹介です。BC級戦犯の裁判がいかに荒唐無稽なものだったのかがよくわかりました。いつも良い本を紹介してくださり、ありがとうございます。
2006/07/30(日) 19:12 | URL | milesta #S4B2tY/g[ 編集]
>かっぱやろうさん
TBの件、了解です。こちらからもTBさせて下さいね。
2006/07/30(日) 00:14 | URL | spiral(管理人) #-[ 編集]
むう
>このところの分祀議論では、「戦死者ではないので祀るべきではなかった」という意見が多いようだ。

東京裁判みたいな無法裁判を闘ったんだから、
あちし的には戦死者と同じだと思うんでスけども・・・
TBさせてください。
2006/07/29(土) 23:52 | URL | かっぱやろう #-[ 編集]
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