『散る桜、残る桜も散る桜』 父祖の思いを受け継ぎ、次の世代へと伝えたい
5月9日の拙ブログの記事(「首相は靖国参拝再考を」経済同友会が提言)にて、東京の経済同友会の、まるで中国政府を代弁するような売国的な内容の提言について取り上げましたが、それに先立ち、関西経済同友会も提言を出していました。こちらの方は大変素晴らしい内容で、今朝(5月17日)の産経新聞に、岡崎久彦氏(元駐タイ大使)がこの二つの提言についての文章を書かれていたので引用します。

(引用開始)
■「靖国」対中提言 西に軍配

岡崎久彦(元駐タイ大使)

時を同じくして、東京の経済同友会と関西経済同友会が、靖国問題など対中、対韓外交について提言を出した。

東京の提言は、「しかし、『不戦の誓い』をする場として、政教分離の問題を含めて、靖国神社が適切か否か、日本国民の間にもコンセンサスは得られていないものと思われる。総理の靖国参拝の再考が求められると共に、総理の想いを国民と共に分かち合うべく、戦争による犠牲者すべてを慰霊し、不戦の誓いを行う追悼碑を国として建立することを要請したい」と言っている。

関西経済同友会は言っている。「いわゆる歴史認識問題は、古今東西、地球上に数多(あまた)存在する普通の事象であり、過度に拘泥する必要は無いと思われる」「中国や韓国の政権が、反日感情を体制維持のために利用して・・・いるように映る現状について・・・毅然とした態度で臨み、正しい相互理解促進の観点から、修正・謝罪・透明化を率直に求める」
「中国の覇権主義を思わせる状況と韓国の北朝鮮迎合的な傾向に対しては、両国とのより良き関係構築の観点から、政府・議員・官僚はより毅然とした態度で外交交渉に臨むことが肝要である。経済人も、また然るべく民間交流に努めるべきである」
靖国参拝については、「注」として、一九八五年の中曽根康弘首相参拝まで、中国はA級戦犯合祀(ごうし)や、総理の靖国参拝などを問題視しなかった事実を挙げて、「これらの事実から判断して、中国の参拝批判は政治的に途中から作り出された外交の交渉カードと考えるのが自然である」と書いている。

文章の品格、国際情勢の読みの深さ、いずれが優っているか、一読すれば自明であり、これ以上喋喋(ちょうちょう)する必要は無い。

とくに政策提言はその前提として情勢判断が不可欠であるが、関西の情勢判断は事実に即して的確犀利(さいり)であるのに較べて、東京の提言で情勢認識らしいものと言えば、「首脳レベルでの交流を早急に実現する上で大きな障害となっているのは、総理の靖国神社参拝問題である」のくだりだけである。

これは、総理は何時でも会うと言い、先方が一方的な注文をつけている事実を述べただけでその背後の情勢判断は皆無である。そして総理が中国の内政干渉を受け入れた場合、その後の日本の利害損失の分析にまったく欠けている。

せめて経済面でこれだけの損害を受けているという分析でもあれば、商利を国益に優先させているという批判はあっても、経済団体の提言としては、まだしもであるが、ただ首脳会談を実現させるためだけの提言というのは、無意味というか素っ頓狂としか言いようがない。

中国との経済関係といえば伝統的に関西の方が遥かに深い。その関西が示している節度と較べて東京の態度はよそながら恥ずかしくて見ていられない。

私は経済同友会には知己は多いが、幸いにして今回の提言の背景については全く知らない。だから個人の顔を思い浮かべずにはっきり物が言える。

このような、素っ頓狂な提言を、しかも、経済の緊急な必要があるわけでもない、高度に政治的問題について、反対意見があるのに強引に多数決で通したのはどういうことなのか、不可解であり、訝(いぶか)しさを禁じ得ない。

背後関係については知る由も無く、また、この種の情報は決して表にでることはないが、誰しも考えるのは、関係者に対する中国による利益誘導か、あるいは脅迫である。

最低の線として、今回の提言を推進した人間は中国に対して今後良い顔が出来ることになるのは間違いない。また、対日工作をしている中国側担当者があったとすれば、大手柄であろう。惜しむらくは、関西経済同友会まで手がまわらなかったことであろう。もし東西同時に経済界が靖国参拝反対の狼煙(のろし)を上げていたらと思うと慄然(りつぜん)とする。

地方健在なりとの感がある。江戸時代以来、日本は地方に確固たる※インテレクチュアルな中心があり、独自の見識を示して来た。今回については関西の見識が東京に優っていることは歴然としている。

こんな粗雑な素っ頓狂な提案で日本を動かせると思うのは東京の思い上がりである。


※インテレクチュアル【大辞林 第二版より】
(形動)
知的であるさま。理知的。
「―な会話」

【解説】関西経済同友会の提言
経済同友会が8日に首相の靖国参拝自粛を求める提言を出したのに先立ち、4月18日に関西経済同友会(当時の代表幹事=松下正幸松下電器産業副会長、森下俊三NTT西日本社長)が、中韓両国との関係改善に向けて「歴史を知り、歴史を超え、歴史を創る」と題してまとめた提言。歴史問題を外交カードに使う両国に対し日本人自身がより近現代史を身につける必要性を訴え、靖国問題での両国の主張は内政干渉だと主張。政府や政治家、経済人は毅然とした姿勢をとるべきだとの立場を鮮明にしている。
(引用終わり)

※経済同友会の提言全文はこちらをクリックするとご覧になれます

※関西経済同友会の提言全文はこちらをクリックするとご覧になれます。


参考までに、同じく産経新聞に掲載された関西経済同友会の提言骨子を記します。

【問題の所在】
・歴史認識や靖国問題を中韓両国が外交カードとして使っているのに対し、政府高官を含めて日本人自身が歴史を知らないために生煮えの歴史対話となっている。

・中韓両国の反日教育は国内政治的な背景に基づくものだが、一方的に日本が非難され適切な反応、反論ができていない。

・歴史的感情について理屈を超えた感情がしこりとして存在する。

【提言】
▽近代史教育の強化
・日韓併合、満州国建国や極東軍事裁判、日韓基本条約などの詳細を教える。

・戦後60年の歴史、平和国家日本の歩みを教え、世界にも周知する。

▽客観的議論と相互理解
・靖国問題など内政にかかわる諸問題は、国交正常化以来の原則通り、相互に不干渉とすべきで、日韓間も同様。

・ただし、反日思想をことさら煽るような反日感情増強施設は、見直しや廃止を求める。

・軍事大国化への懸念や主権侵害、暴力行為などには形だけの抗議で矛を収めず、必ず強く抗議し、謝罪を求める。

・竹島、尖閣列島の帰属問題は、国際司法裁判所への付託を中韓両国にも求める。

▽未来志向と戦略的取り組み
・国、自治体、企業、個人があらゆる分野で幅広い人的交流を展開。若いころから各層で交流し、個人的友誼を通じることが重要だ。

・日中米三極ジンポジウムなど第三者を含めた学者、経済人による自由な歴史共同研究を行う。


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※追記

■「誰が何と言おうと…」靖国参拝で首相、財界人に
 
小泉首相は17日夜、都内のホテルで財界幹部と会食した。

経済同友会の北城恪太郎代表幹事が、同会が首相に靖国神社参拝の中止を求める提言をしたことについて「ご迷惑をお掛けした」と述べたのに対し、首相は、「俺は誰が何と言おうと関係ない」と応じ、自らの靖国参拝の判断には影響しないとの考えを示した。

首相はまた、「構造改革路線は(後継者に)引き継いでもらわないといけない」と語った上で、「いずれ8月末か9月になって(自民党総裁選の候補者が)はっきりすれば自分も(誰を支持するか)態度をはっきりさせる」と述べた。

(2006年5月17日23時6分 読売新聞)


北城氏、謝るぐらいならあんな提言をしなければ良いのに・・・。
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コメント
この記事へのコメント
>ねこねこさん
関西の提言こそ、大きくマスコミで取り上げて欲しいのですよね。
ネットユーザーと非ユーザー間の情報格差ですが、私も去年PCを購入してネットを始めたのですが、如何に自分が情報を知らなかったのかというのを痛感しました。
この情報格差はすごく大きいと思います。
2006/05/20(土) 17:00 | URL | spiral(管理人) #-[ 編集]
TBありがとうございます。
ようやく産経に載りましたか。
しかし、経済同友会の提言の扱いに比べて、なんと小さいことでしょう。

関西の提言は、私はいつも訪れないサイトで偶然見つけたのですが、そうでなければ知らずに終わるところでした。

格差格差とあちこちで耳にしますが、現在本当に深刻な格差は、ネットユーザーと非ユーザー間の情報格差かも知れません。
2006/05/19(金) 22:28 | URL | ねこねこ #A1Po/B9U[ 編集]
>milestaさん
そうかもしれませんね。東京の経済同友会の方には、関西経済同友会の提言を読んで勉強して欲しいです。

>mermaidさん
おっしゃるとおりです。関西の提言こそマスコミに取り上げて欲しいです。
2006/05/18(木) 19:07 | URL | spiral(管理人) #-[ 編集]
関西の経済同友会でこのような提言があったことをここで初めて知りました。やはり良識のある経済人はちゃんといるんですよね。東京でなく関西の提言をマスコミは大々的に取り上げるべきだと思います。常識的すぎてニュースに向かないとマスコミは判断しているのかも知れませんが、日本人の政治意識の向上には必要なことでしょう。センセーショナルで面白いというだけで東京の提言を批判もせずに報道するマスコミは見ていて情けないです。
2006/05/18(木) 00:03 | URL | mermaid #-[ 編集]
知りたかったテーマです!
先日のコメント欄を見て、このことを詳しく知りたいと思っていたところでした。記事にしてくださりありがとうございます。

関西の方が“商売第一”というイメージですが、極めて冷静。
>中国との経済関係といえば伝統的に関西の方が遥かに深い。
ので、中国が何をたくらんでいるかをよくご存じなのかも知れないですね。
2006/05/17(水) 20:44 | URL | milesta #S4B2tY/g[ 編集]
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