『散る桜、残る桜も散る桜』 父祖の思いを受け継ぎ、次の世代へと伝えたい
日本には四季折々の変化があり、今は新緑が目にもまぶしい、とても爽やかな好季節です。そして、山へ行けば山の幸があり、海へ行けば海の幸があり、大変豊かな自然に恵まれた国です。
ところが、悲しいかな隣人には恵まれませんでした。中国・北朝鮮・韓国、いずれも憲法前文に書かれているような「公正と信義」を期待することなど出来るべくもない国々です。
このような隣人、特に中国とどう付き合っていけばいいのか。日下公人(くさかきみんど)氏が、論壇誌「WiLL」(05’7月号)にご自身の体験を元にヒントを書かれているので引用します。

■中国人には正面きってものを言え

昨年の十二月のことだが、私の所に胡錦濤国家主席直系のシンクタンクの人が、「新しい日本について話を聞きたい」と言ってきた。私は直ちに「そちらも新しい中国について教えてくれるなら会いましょう」と返事をした。これは「もう帰って下さい」というときのための布石である。

以下は、中国人との会談や交渉に際して、多少とも参考になると思われるので、そのときのやりとりの一端を紹介しよう。

彼らは最初に、「日中友好親善が大事です」と言ったので、「私はそうは思いません」と答えた。彼らは大変驚いた様子で、ザワザワと話し始めた。それにしても、この程度の返答に対して、即座の切り返しができないとは、ナイーブな人たちである。日本人は「イエス、イエス」と言うものだ、と思い込んでいることが分かった。

あまり気の毒なので私は助け舟を出して、「友好親善は懸案が解決したときに自ずから実現するものです。交渉において先決する事項ではありません。われわれはお互いに白紙の状態で、まず懸案があるならその解決に努力しましょう」と言ったが、彼らはこの話の流れについてこられない。

そもそも彼らには「白紙で対等の交渉」という概念がないことがそれでよく分かった。共産党の権力を背景に相手を威圧しながらやってきたやり方が身についてしまって、それ以外のことができないらしい。
それで親切な私は、彼らに日本の民主主義を教える必要があると気がついた。

「日中間にはどんな懸案事項があるのでしょうか」
と水を向けたが、今度はこう言ってきた。

「日下さんは台湾によく行かれますね」

「はい、行きますよ」

「ところで、日本がこれ以上台湾に接近するならば、われわれの原子爆弾を覚悟すべきです」

「原子爆弾」までを持ち出すとは、まあ、何と幼稚な人たちだろうと思ったが、発言の背景は充分に想像できる。

それは、台湾問題についてはこれまで日中米間で暗黙のコンセンサスがあったにもかかわらず、最近日本は米国に働きかけて、台湾問題を「日米共通の戦略目標」に組み込んでしまった。そのように、日本が公然と台湾問題に口を挟んできたことが許せないということなのである。

その気持ちを日本に伝えるにあたって「原子爆弾」を使えばよいと判断したようだが、それは古すぎる。新しい日本には効果がない。私は変化球で答えた。

「日本では個人の意見は国家とは別です。私の発言で原子爆弾が中国から飛んでくるなどは想像外のことです。どうも中国では個人に意見を言う自由がないようですね。すぐに国家に弾圧されるのですか」

と言ったら、また返答に窮して、お互いにザワザワと何やら話している。

すると、それを見かねた通訳が私に向かってこういった。

「あなたには驚きました。私たちは今度、北京へあなたを招待します」

じつは、共産党のなかでの序列は、このシンクタンクのトップよりも通訳のほうが上だったらしい。

要するに、中国人と交渉する場合、黙っていたら損をする。正面きってものを言ったほうがよい。ときには相手の足元に石を置いて躓(つまず)かせなければ駄目だ。それが互角の戦いであり、そうすれば、「なかなかやるじゃないか」ということになる。
(引用終わり)


こうした日下氏の対応を、前回の拙ブログの記事で取り上げました経済同友会の方々も学んで下さればと思います。

さて、私たち一般人は、日本は外交下手で、中国にもいいようにやられているという感じがするのですが、日下氏に言わせると、外交下手なのは中国なのだそうです。以下、前述の論壇誌05’8月号より日下氏の論文を引用します。

■外交下手なのでは日本ではなく中国だ

このところの日中外交はトラブル続きだが、これに関する日本国民の声は、「日本外交は中国に位負けしている。弱腰だ」というものが一般的だ。だが、なかには、「今年は戦後六十年で、中国にとっては記念すべき年だから理解をもってやるべきだ」というのもある。

しかし、勝っている、負けているというより、これまでの歴史をみると、中国は昔から外交下手な国で、いつも失敗している。これは日本に対してのみならず、ロシア、ベトナム、インドそしてアメリカに対してもそうだ。

いってみれば、中国の外交下手は中国自身の体質で、だから、日中外交において、日本が何かをしたらうまくいく、というものではない。

現在、日本と中国のあいだで起こっていることも同じで、中国の対日外交の失敗はこれから先、ますますはっきりしてくるだろう。

外交の本質は、お互いが対等の立場に立って妥協点を見つけることだが、中国にはそんな習慣がない。

中国は徹底的に現実主義で百パーセント力(ちから)の信奉者だから、強いか弱いか、上か下かの発想から全てが始める。だから平気で恫喝する。契約を破る。そして、相手の反応をみて次の対応を考える。それで中国の外交はたいてい失敗している。成功するのはたまたま力がバランスしたときと、相手がよほど弱いときだけである。それは外交が成功したのではなく、腕力で成功したのである。

一方、日本の外交はどうか。日本外交は礼儀正しく、平和主義で、友好平和のためには自分から一歩も二歩も下がるという、珍しいものである。だから相手国に付け込まれる。しかし、じつは日本には反発力があって、日本を深追いすると、相手国は後悔することがしばしばある。

チャーチルの『第二次世界大戦回顧録』のなかにこんなことが書いてある。

日本人は無理な要求をしても怒らず、反論もしない。笑みを浮かべて要求を呑んでくれる。しかし、これでは困る。反論する相手を捩じ伏せてこそ政治家としての点数があがるのに、それができない。それでもう一度無理難題を要求すると、またこれも呑んでくれる。すると議会は、いままで以上の要求をしろという。無理を承知で要求してみると、今度は、笑みを浮かべていた日本人はまったく別の顔になって、
「これほどこちらが譲歩しているのに、そんなことをいうとは、あなたは話の分からない人だ。ことここにいたっては、刺し違えるしかない」
といって突っかかってくる。

これは、昭和十六(一九四一)年十二月十日、マレー半島クァンタンの沖合いで、イギリスが誇る戦艦プリンス・オブ・ウェールズとレパルスの二隻が日本軍によって撃沈されたときの日記だが、チャーチルは、これによってイギリスはシンガポールを失い、インドでも大英帝国の威信を失うのではないかと心配しながら書いている。

チャーチルは、「日本にこれほどの力があったのならもっと早くいってほしかった。日本人は外交を知らない」と書いている。つまり、日本は相手に礼儀を尽くしているだけで外交をしていない、外交はかけひきのゲームであって誠心誠意では困る、ということらしい。

小泉首相との会談をドタキャンして帰国した中国の呉儀副首相を見た多くの日本字の顔つきももう変わった。ドタキャンのみならず、テレビで放映されたトヨタの奥田会長との対談での横柄な態度、そして、険悪な表情は、見ている日本人にはとても耐えられるものではなかった。

これで小泉首相の靖国参拝は、必定のものとなってきた。日本人はどんどんそういう方向に固まってきた。

本稿の結論としていえば、北京のなかでの対日強硬派と礼儀派の権力闘争の勝敗を決めるのは日本で、それは日本政府でも外務省でもなく、むしろ国民一般大衆である。日本の国民大衆は、中国には絶対に譲歩しない気持ちにいまやなってしまった。中国はまた外交に失敗したのである。
(引用終わり)


日下氏のお話は、一見すると突拍子もないことを言われているようなのですが、最後まで話を聞いてみると、「なるほど」と思わせるものがあります。
中国人とは正面きってものを言ったほうが良いこと。そして中国は外交下手で、徹底的に現実主義で百パーセント力の信奉者であること。それを踏まえた上で中国と付き合ってていかなければならないということです。
そして、私たち国民も、こうした認識を持ち、「日中友好」の名の下に、事実上の朝貢外交を続けていこうとする政治家や経済同友会の方々に対して声をあげなければならないと思います。

※日下公人氏略歴
一九三〇年生まれ。東京大学経済学部卒。日本長期信用銀行取締役、(社)ソフト化経済センター理事長を経て現在東京財団会長。

■日下氏著書
闘え、日本人―外交とは「見えない戦争」である
集英社インターナショナル
日下 公人(著)
発売日:2005-10
おすすめ度:4.5

※今回引用したお話も掲載されています。


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コメント
この記事へのコメント
仰るとおり!
以前旦那の会社に中国から出張者(中国人)が来たときのことです。タイ人のバスの運転手があまりにも物分かりが悪く、道を覚えない人で、出張者を会社から宿泊先に送るのに何度も行き先を間違え、とうとうこの中国人はタイ人の運転手を怒鳴りつけたそうです。そして怒りが治まらなかった出張者は側にあった運転手の携帯電話を床に投げつけたのです。実はタイ人にとって携帯電話は途方もなく高価な物で、給料の半年分もの電話機本体をローンを組んで買うのが一般的なので、そんな大切な携帯電話を壊された運転手は豹変し、出張者に殴りかからんばかりの勢いで怒鳴りつけたそうです。すると一気に立場が逆転し、よっぽど運転手の気迫が勝ったのか、翌日出社した出張者が反省の面持ちでこの話を日本人にしたそうです。前日までは日本人の自分より年齢や位が上の
人だろうが誰だろうが所構わず横柄な振る舞いだったこの中国人出張者は、この日を境に大人しくなったそうです。
つまり、中国人は「動物的感覚」なのでしょう。自分より強いか弱いか、それはとても浅はかな基準で決められているように私は思っています。この話で分かるように、自分より下だと思っていた相手がそうじゃないと分かると、手のひらを返すので、日本も「言うときは言う、やるときはやる」という強い姿勢をもっと全面に押し出す必要があると思います。そうじゃないと中国にとって下である日本と真の友好関係になるはずがありませんから。


2006/06/12(月) 19:20 | URL | ゆう #-[ 編集]
>地蔵さん
>こういった主張をしてくれる人が一人いるだけでも大助かりです。

本当にそうですよね。日本の将来については、ともすれば悲観的な考えになってしまいすが、日下氏の著書を読むと、「日本の未来は明るいんだ、だから元気を出して頑張ろう」という気持ちにさせてくれます。(地蔵さんの言われるように、やや日本に甘い観測になっている気もしないではないですが)
でも、悲観的に物事を考えていたら、うまくいくものもいかなくなりますものね。
多くの人が日下氏の著書を読んで下さり、明るい未来を思い描いて活動して下さればと思います。日本が良くなる出発点はそこからだと思います。
2006/05/15(月) 18:32 | URL | spiral(管理人) #-[ 編集]
日下先生の組がどんどん出て欲しい
こんにちは。
久しぶりにコメントいたします。
日下先生の本は突飛も無いことが書いてあるようで、実は本質を突いている本ですよね。
若干日本に甘い観測になっている気もしないのではないですが(=日下先生の本を読んで、それだけで安心してもらっては困る)、こういった主張をしてくれる人が一人いるだけでも大助かりです。
2006/05/15(月) 12:54 | URL | 地蔵(伊達海) #mQop/nM.[ 編集]
>antimarckさん
初めまして、コメントありがとうございます。日下氏は独特の視点から物事を見ておられて、私たちの気付かないことを教えてくれますよね。
私も日下氏の著書やお話で勉強させて貰っています。
戦後日本は事なかれ主義で外国との摩擦を極力避けてきましたが、今回取り上げた中国との諸問題、拉致問題、竹島問題等々、どれも事なかれ主義では解決できない外交問題ですよね。
ですから、antimarckさんの言われるように、外交感覚を鍛え、そして「何としても解決するんだ」という意志を持つことが肝要だと思います。

>かついちさん
日下氏のような政治家がいてくれたら心強いのですが・・・。
中西輝政氏が語っておられましたが、日本は困難な状況に陥った時、「下からの国民の力」で危機を打開してきたと。ですから、今のような時期にこそ、私たち国民の「草の根」の力が必要なんだと思います。
2006/05/14(日) 00:51 | URL | spiral(管理人) #-[ 編集]
日本外交の底力
記事を読んでいてすごく胸がすかっとしました。こんな政治家がいたらもっと晴れ晴れしい気持ちになれるのになと思います。日本の外交下手はもう歴史上どうしようもないのかなと思っていましたが、そうでもないんですよね。政府や外務省がダメなら国民が毅然と向き合えばいいことなんですね。何でもお役人任せでは何も進まないし、却ってつけ込まれるだけのような気がします。私たち国民が中国や韓国にNOをいうべきなのかもしれません。日本外交の底力を持っているのは政府や外務省ではなくて、私たち国民なのかもしれません。
2006/05/13(土) 15:56 | URL | かついち #JalddpaA[ 編集]
同感です
はじめてお便りします。
大阪府在住のペンネームantimarck(男)と申します。紹介された日下先生の本は私も読んで、興味深く思っていました。
日下先生はいつも新たな視点を提示してくれると思います。

外交感覚を鍛えるのは本当に必要でしょうね。
2006/05/13(土) 08:58 | URL | antimarck #-[ 編集]
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