『散る桜、残る桜も散る桜』 父祖の思いを受け継ぎ、次の世代へと伝えたい
連休も終わり、国会では教育基本法改正案が論議されることになります。以下、関連ニュースを引用します。

■教育基本法改正案閣議決定 会期中成立は微妙

政府は二十八日午前の閣議で、教育の目的に「伝統と文化の尊重」や「わが国と郷土を愛する態度を養う」ことを盛り込んだ教育基本法改正案を決定した。これを受けて、衆院は連休明けの五月十一日に同法改正のための特別委員会を設置し、本格審議に入るが、六月十八日までの国会会期中に成立するかは微妙だ。
 
教育の憲法とされ、すべての教育法令の根本である教育基本法は昭和二十二年の制定以来、一度も改正されていない。改正が実現すれば、五十九年ぶりの初改正となる。
 
改正案は「個人の尊重ばかりが強調され、どこの国の法律か分からない」(自民党幹部)と指摘された現行法を改め、前文に新たに「公共の精神の尊重」や「伝統の継承」を挿入。社会情勢の変化に合わせて「生涯学習」「家庭教育」「幼児期の教育」などの条項を新設した。
 
また、「義務教育」に関しては、「6・3制」にとらわれない多様な教育が実践されつつある教育現場の実情から、現行法の「九年」という年限を削除した。
 
ただ、現行法にない「愛国心」の表現をめぐっては、与党協議の中で公明党の主張への配慮から「心」が外され、「態度」となったため、自民党内の不満は大きい。
 
日教組などが国旗掲揚・国歌斉唱反対運動などを展開する根拠として利用されてきた現行法一〇条の「教育は、不当な支配に服することなく」との条文は、それに続く後段部分が修正されたものの、そのまま残った。
 
また、自民党や、創価学会以外の多くの宗教団体が宗教教育に関する条文への盛り込みを求めていた「宗教的情操の涵養(かんよう)」は見送られ、「宗教に関する一般的な教養の尊重」だけが加えられた。
     ◇
≪教育基本法改正案骨子≫
一、公共の精神を尊び、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進。憲法の精神にのっとり、我が国の未来を切り拓く教育の基本を確立し、振興を図るため、この法律を制定する
一、我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う
一、教育は、不当な支配に服することなく、この法律や他の法律の定めにより行われるべきもの
一、政府は、教育振興の施策を総合的に推進するため基本計画を定め、国会に報告するとともに、公表する

(産経新聞) - 4月28日16時23分更新


■連休明けに教基法で見解提示へ(共同通信)
 
民主党の「教育基本法に関する検討会」(座長・西岡武夫元文相)は25日、国会内で初会合を開き、教育基本法改正について、5月の連休明けまでに党独自の見解を取りまとめる方針を確認した。会合後、西岡氏は記者団に「政府案に民主党の考えをぶつける。きちんとした形にしなければならない」と述べ、最終的には法案として対案を提示する考えを表明した。 

[共同通信:2006年04月25日20時20分]


■教基法改正案で推進本部(共同通信)
 
文部科学省は2日、小坂憲次文科相を本部長とする教育基本法改正推進本部を設置することを決めた。大型連休後に国会で同法改正案の審議が始まるのを受けた措置。8日に初会合を開く。本部長代理に馳浩副大臣、副本部長には河本三郎副大臣と政務官2人、事務局長には結城章夫事務次官を充てるなど、今国会での成立に向けて文科省を挙げて取り組む方針だ。 

[共同通信:2006年05月02日20時05分]



こうした動きに先立ち、先月25日、「教育基本法改正の実現をめざす緊急集会」が、自民党本部ホールにて行われました。この集会より、小川義男氏(市立狭山ヶ丘高校校長)のスピーチを引用します。
■小川義男氏スピーチ
教育基本法の改正に向けて努力して来られました自民党の先生方に、まず心からの敬意を表して、しかしまた私共として、これからの国会論議の中で何とかこの点だけはご修正いただけないでしょうかという点を申し上げます。

まず、愛国心の問題でございますが、中国がこのところ財政的にも豊かになって、この豊富な資金を利用して我が国の政界・財界に様々な干渉を行う可能性が出てきております。政治家ですら、自分の思うように動くならば、有利な情勢を作り上げてやろうというような気配さえ、彼らの言動には見られるのであります。國問題などはその表れだろうと私は思います。このような動きに対して、これを廃絶する唯一の方法は、「死んでも国は売らない」という愛国心を、政治家にも、未来の政治家にも、未来の主権者にもしっかりと育てることです。
愛国心というのは、国家の存亡に係わる※瞰制高地(かんせいこうち)、日露戦争で言えば※二百三高地でございます。この点での原則を譲るときに、国家はその存亡を問われるに至るであろうと。その点で、非常なご努力、連立政権という中で、どれほどのご苦衷(くちゅう)があったかと思いますけれど、どうも愛国心の分野では与党原案の中に止むを得ずでありましょうけど、ふらつきがみられる、この辺りが非常に残念だと私は思います。原則における妥協は、国家千年の明日に向かって禍根を残す。この辺りを、今後の国会論議の中で是非ご検討いただきたいのであります。

それから、※教育基本法改正案の一〇条は、日教組にとっては明らかに、極めて不利になったと思います。この点のご努力、どれほど大変であったか敬意を表します。
しかしながら、残念なことに教育基本法(現行法)一〇条の、校長を泣かせ、校長を自殺させ、小学生に対して校長に土下座をさせて、偏向教育を欲しいままにするために最も活用された、「教育は、不当な支配に服することなく」という文言は残りました。これは、今度の改正案で前進しているとは思いますけれども、この「不当な支配」という文言は、アメリカに対する戦争を行った日本に対して、これを精神的にも武装解除すべく、アメリカ政府が教育基本法の中に、わざわざ後から付け加えたものでございます。
それは、日本という国家は悪くて個人は良い、あるいは教員は良くて文部省が悪い、こういうふうに、それまでの伝統と文化を有していた我が国家そのものの尊厳を否定するために、教育は、国や、文部省や、地方自治体が行うのではなくて、その中身、内的事項は、それぞれの現場教員が行うものだ、それが「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて」という文言で貫かれた、当初の趣旨でございます。
それが、その後に最高裁判所の非常に適切な判決で、『そうではない、国家・自治体というものは、教育の中身に対しても、国民全体の意志を持ってこれを貫くことが出来るのだ』というという素晴らしい判決で、この教育基本法一〇条の「不当な支配」というのは、少なくとも法的には無力化されておりました。
しかし、この一〇条にあった「不当な支配と」いうのは、今申し上げたような主旨で、この後も悪用される危険がある。私の尊敬するある方の言葉によると、「これはもう戦後六十年、汚れきった言葉である。ここらでこれをスパッと切れないか」と。

これは難しい問題だと思いますが、最後に私がお願いしたいのは、連立政権ですから、色々あるのは分かるけれども、この場合、自民党は何をなさりたいのか、それに対して連立与党を組んでいる公明党がどのようにこれに反対しているのか、この点を国民の中に明らかに明らかにすることなしに、自民党の明日もないし、我が国の教育の明日もない。また、ある意味では公明党の明日もないではないかと、私は思います。
その点で、密室政治と批判するつもりはないけど、連立与党内にある不一致が、どこでどのように違うのかということを明らかにすることが、この後、我が国の教育を発展させていく上で最も肝要であるということを申し上げて結論と致します。(終わり)


※瞰制高地(かんせいこうち)
当時の軍事用語で、いまの日本ではまったくなじみのない言葉です。以前の、大砲を撃ち合う戦争をやっていた時代には、戦場の全体を見渡せるような高地をさきに占領することが、勝敗を決する大問題でした。そういう高地、「瞰制高地」をおさえれば、戦場の全局を視野におさめて、戦争の主導権をにぎれるからです。

※二百三高地(にひゃくさんこうち)
中国旅順(現、大連市の一部)北西の標高二〇三mの丘陵。
日露戦争における旅順攻防戦最大の激戦地。

※教育基本法改正案の一〇条
教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきもであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行わなければならないこと。

(現行法の一〇条)
教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。


教育基本法改正をめぐる論議の中で、「国を愛する心」という言葉を法律の中に盛り込むのは如何なものか、という意見があります。
しかし、「国民の祝日に関する法律」の第二条に、 「・・・建国記念日 政令で定める日 建国をしのび、国を愛する心を養う」ということが明記されていますので、今回初めて「国を愛する心」を盛り込もうという訳ではありません。

最後に、この大会での決議文を引用して終わります。

■大会決議

去る四月十三日、教育基本法に関する与党協議は、七十回に及ぶ審議を終えて合意に達した。そして本日、自民党文教部会では法案審議がなされ、部会長一任が取り付けられた。本来なら、不磨の大典とされてきた法律の抜本改正は、もろ手をあげて賛成すべきものである

しかし我々は、今回の合意内容と政策決定の過程には、重大な欠陥があるものと考える。

第一に、その政治手法には大きな問題がある。自民党・公明党を代表する、わずか十名程の教育基本法改正についての検討会は、議事録はおろか配布資料すら公開しないという徹底した秘密主義を貫いた。この間三年という長期間にわたり、自民党の議員からは論議の場が奪われてきたのである。更に与党合意が発表されるや、党幹部からは、「一言一句たりとも修正しない」といった驚くべき発言がなされ、本日午前、文教部会において一任が取り付けられ、事実上、自民党内での論議は終結したのである。

三年間に及ぶ密室協議と、二週間の党内論議。戦後教育の総決算である重要法案を、わずか二週間、たった一~二回の会合で了承を取り付けて閣議決定を急ぐ強引な手法は、政党政治の根幹に関わる重大な問題をはらむものである。

このことは今回の与党合意が、国民の英知を結集した改正案ではなく、自民党と公明党の政治的妥協の産物であると断言せざるを得ない。

第二に、与党合意内容の問題点である。我々は四月十一日、「教育基本法の今国会改正を実現する国民大会」において、自民党三百二十一名が加入する教育基本法改正促進委員会とともに、「国を愛する心」及び「宗教的情操の涵養」を明記すること、更に「不当な支配」の文言削除を求める決議を採択した。

過去半世紀にわたる政・官・民の改正運動、そして文部省と日教組との激しい戦いの争点は、この三点に集約されるといってよく、決して譲歩することは出来ない改正の核心である。

与党合意は、「国を愛する…態度を養う」と明記した。しかし、卒業式・入学式に行われる国旗掲揚・国歌斉唱は、態度を養うことで片付けられる問題なのだろうか。否、心の指導が根本にあってこそ、国民自ら未来へと国旗・国歌を守り伝えていくことが出来るのではないか。

更に「宗教的情操」の言葉は盛り込まれなかった。与党幹部は「『宗教的情操』が入らなくても『豊かな情操』の理念が盛り込まれているではないか」と説明する。しかし、言うまでもなく「宗教的情操」とは、生命の根源、人間の力を超えたものに対する畏敬の心情である。それは取りも直さず、天地自然に感謝し、祖先を敬うといった日本人の感性の中核そのものである。しかも制定当時、占領軍の強制により削除された「宗教的情操」の言葉が、半世紀を経て日本人自らの手によって葬り去られることなど、断じて容認できない。

最大の争点である「不当な支配に服することなく」の表現は残された。この文言のある限り、一部教職員団体が裁判闘争を仕掛け、校長はじめ管理職が自殺に追い込まれる懸念は払拭できない。

しかも修正すべき以上の三点は、自民党結党の精神にも合致し、最大勢力を有する自民党が公明党を説得するものと我々は期待したのである。
問題点山積みの法案が、このまま何の修正も加えられることなく、拙速のうちに成立するのであれば、我々は三百六十二万を超す賛同署名、及び三十七都道県・四百二十市区町村を数える地方議会決議に尽力された全国の同志、なかんずく日本の教育再建を願い世を去ったあまた先人に対して、いかに申し開き出来ようか。

我々は、あくまでもかかる三点の修正を要求し、これが入れられない限り、今回の自民党・公明党の合意に基づく法案には賛同することはできない。

自由民主党においては、与党協議の全貌を公開して国民への説明責任を果たし、法案審議にあたっては拙速な成立を避けて十分審議して三点の修正に努め、後世に恥じない教育基本法改正を実現するよう求める。
右、決議する。

平成十八年四月二十五日
                                     教育基本法の改正実現をめざす緊急集会
                                                   日本会議
                                                 民間教育臨調


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コメント
この記事へのコメント
>milestaさん
前大臣の中山さんは良かったですね。中山さんが文部大臣を続けてくれたら良かったのですが。
小泉首相ご自身は、あまり教育問題には関心がないように思われるので、人事を決める際に深い思慮もせず決められたのでしょうね。
2006/05/10(水) 11:06 | URL | spiral(管理人) #-[ 編集]
「不当な支配に服することなく」という言葉は、何度見ても非常に奇異な感じがしますし、これを利用して好き勝手に振る舞う教育者達がいることに不快感をもちます。絶対に取り除いて欲しい。
でもこれ誰が残したがっているんですかね?社民党や共産党ならわかるけど。記事中にもあるように、誰が何についてどう反対しているのかを明らかにして欲しいです。

しかし、なんで小坂大臣の時に改正になってしまったでしょうね。前大臣の中山さんだったら、もっとリーダーシップを発揮して骨のある改正を目指してくださった気がするのですが・・・。
小坂大臣になってから
「ゆとり教育継続」
「小学校での英語教育導入」
「公立塾」
など見当外れな方向に進んでいませんか?しかも教育哲学があるように見えないので、官僚の言いなりなのでしょうか。文科大臣の人事を安易に(たぶん)決めた小泉首相の罪は大きいと思います。
2006/05/09(火) 08:57 | URL | milesta #4On3Ze.o[ 編集]
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本日、教育基本法改正案が審議入りしました。
2006/05/16(火) 23:44:23 | 日々是桜
 新教育基本法のほそかわ私案全文を、以下に掲載する。連載の途中で変更を行った箇所については、説明を再びこの日記に掲載するのは、混乱を招くと思う。私の<オピニオン・サイト>に、条文とその説明を一括して掲載したので、ご関心のある方は、ご参照願いたい。 http://
2006/05/10(水) 12:54:17 | ほそかわ・かずひこの BLOG
 本日の産経新聞朝刊(東京版は12面)に、自公の教育基本法案に修正を要求する全面広告が載った。意見広告主は、日本会議(三好達会長)、民間教育臨調(西澤潤一会長)である。  表題は、  「教育基本法改正案  なぜ国民の願いが反映されないのですか? 私たちは、
2006/05/08(月) 09:57:47 | ほそかわ・かずひこの BLOG