『散る桜、残る桜も散る桜』 父祖の思いを受け継ぎ、次の世代へと伝えたい
※今回は、産経新聞より岡山版に掲載されている森靖喜(もり・やすき)氏の論文を引用します。

■現在(いま)を問う
岡山学芸館高・清秀中学園長
森靖喜

これで良いのか 中学の歴史許可書採択

全国の中学校で来年度から使用される教科書の採択の結果が判明した。戦後、長きに渡って日本の文化・伝統を否定的に描く教科書が氾濫(はんらん)し、国語では古典が、音楽では邦楽や唱歌がないがしろにされてきた。

なかでも子供たちに最も深刻な悪影響を与えてきたのは歴史教科書で、20年前まではすべての教科書が明治維新以来、日本はアジアを侵略し、朝鮮の女性を強制連行して、従軍慰安婦にしたなどといううそを記載し、必要以上に日本をおとしめる自虐史観に毒されていた。生徒たちは自分たちの父祖がそんな残虐行為をしたと教えられ、日本が愛せなくなり、他国の生徒と比較し、「愛国心」「自己肯定観」が極端に低くなった。

それを見かねて平成8年に「新しい歴史教科書をつくる会」が設立され、共産主義・自虐史観に毒されない中立の立場から教科書を作り始めた。その流れを引き継いだのが、自由社と育鵬社である。その育鵬社が全国22都府県、31自治体、600校で使用される。

歴史7万2千冊(シェア6・2%)、公民6万5千冊(5・6%)となり、前回の採択から約1・5倍に増加した。マスコミもその増加振りを報道し、一応、幅広い支持を獲得したといえる。とりあえずは「良し」としたい。しかしながら、中学生一学年は約116万人。90%以上、100万人以上の中学生が以前と変わらぬ自虐的教科書で学ぶ。

さらに驚かされたのは、育鵬社からの情報によると、今回初めて歴史教科書の出版に参画した「まなび舎」の教科書を、国立大学の付属中学校である東京大学付属中等学校・筑波大学付属・奈良教育大学付属、私立の名門である慶応大学付属中学・獨協大学付属中学・麻布中学・大阪桐蔭中学などが採択している事実である。

この「まなび舎」教科書は、今までのものよりもさらに左翼的・自虐的で文科省の一次検定に不合格になり、訂正して合格したいわくつきのものである。上記の中学校はエリート養成校であり、有名校である。20年、30年後の日本を背負う中学生に、中国や韓国「日本は悪い国です」と謝罪し、両国との歴史戦・情報戦に負けなさい、それが人道的で人権を尊重する正しい態度です、と教えるのである。

考えてみればこんな恐ろしいことはない。個人的には育鵬社に20万冊以上、シェア20%以上を期待していたので、少し残念な結果である。

岡山県の公立中学校での育鵬社・自由社教科書の採択は依然としてゼロ。安倍政権の教育委員会制度の改革で『総合教育会議』が新設され、首長が教育委員会と基本方針を話し合うことが可能になった(それまでは首長といえども、教委には口出しできなかった)。しかし、左翼・組合は抗議行動が派手で、マスコミも応援する。選挙を気にせねばならない首長の立場は理解できるが、首長に信念・危機意識が欠けていたのではないか。保守系首長にはもっとしっかりしてもらいたい。新聞報道などで右翼の教科書と偏見を持っていたにもかかわらず、実際に育鵬社教科書を読んだ首長は「これ、ちっともおかしくないね」という返答だったと、育鵬社の関係者から聞いている。

本学園の清秀中学校では「育鵬社」「自由社」の2社とも採択している。市販されている両教科書をご一読いただければ、誤解は解けると思います。

※森晴喜(もり・やすき)
昭和16年、岡山市生まれ。明治大学大学院卒業後、43年から金山学園(現・岡山学芸館高校)の教諭、岡山市教育委員長などを歴任。現在は岡山県私学協会長、学校法人・森教育学園理事長、岡山学芸館高校・青秀中学校学園長、教育再生をすすめる全国連絡協議会世話人。専門は政治学。



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